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ミステリの祭典

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おとなしい共同経営者
ペリイ・メイスン

作家 E・S・ガードナー
出版日1958年01月
平均点7.50点
書評数2人

No.2 8点 弾十六
(2018/11/17 14:59登録)
ペリーファン評価★★★★★
ペリー メイスン第17話。1940年11月出版。ハヤカワ文庫で読了。
冒頭にメイスンが登場せず依頼人の三人称で始まる(この形式、私は嫌いです)のはシリーズ初、第三章(p38)からメイスンが事務所に出勤し、やっと物語に現れます。
ホルコム(馬鹿で意地っぱりで頑固な…)は転勤し、代わりのトラッグ警部(メイスンと同年代でほぼ同じ背丈)は初登場でいきなりナイトクラブで大暴れ、その後も派手に大活躍、頭脳戦でメイスンと互角に張り合います。
ドレイク探偵が全く姿を見せないのはシリーズで唯一です。(裏で情報収集活動はしていますが、セリフはたった5行(p170-171)電話の声として登場するだけ)
前作に引き続き医師ウィルモント博士が登場。今回は赤毛の看護婦3人とゴージャス。
物語はいつものこんがらがる筋で、メイスンが打つ手をトラッグがことごとく潰してゆく緊張感あふれるストーリー。デラも逮捕寸前まで追い詰められます。でもペリー自身の危ない冒険は控え目なのがズルい。トラッグから習ったスピード運転をデラに披露して物語は終了。
以下トリヴィア。
銃は32口径のリボルバーが登場。メーカー不明で、らでん細工の握りがついてることだけしかわかりません。
p10 メイスン事務所の時間外連絡先はグレンウッドGlenwood 6-8345(電話取次サービスの番号)
p107 パラフィン・テスト(paraffin test)シリーズ初登場、当時の新技術です。(1933年にメキシコ警察が初導入とのこと)
p222 雑誌「探偵実話」(one of the True Detective magazines): 正確にはTrue Detective Mysteries、小説系&実話系のパルプ雑誌(ハメットやトンプソンの初期作品を掲載)だったが1930年代から実話系にシフトして行き、1941年からはTrue Detectiveと改称。
今回は新機軸が多いのですが、ルーティーンも懐かしいです… (お馬鹿なホルコムとのドタバタはしばらくお預けです)

<これ誤訳?>
ラストシーン、デラがメイスンに言います。
「あなたは国産のネクタイが嫌なのと同じに、後見人なんか嫌いですもの…」You don’t want a guardian any more than you want domestic ties: 家庭的な絆、じゃないでしょうか…

No.1 7点 nukkam
(2016/08/31 11:28登録)
(ネタバレなしです) 1940年発表のペリイ・メイスンシリーズ第17作である本書はメイスンの好敵手となるトラッグ警部が初登場する貴重な本格派推理小説です。これまでの作品でメイスンと対決した警察の人間は怒鳴り散らしてばかりで頭の回転が速いとはいえないタイプが多かったのですが、トラッグは考え方のバランスが取れていて一筋縄ではいかない雰囲気を持っています。まあそれでもメイスンの方が一枚上手で、作品によってはトラッグもトホホな目に遭ってしまうのですけど。本書はよくできた謎解きになっており、13章でメイスンがトラッグに説明する犯罪計画も大胆だし犯人をカモフラージュするミスリーディングも巧妙でした。

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