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ミステリの祭典

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望郷

作家 湊かなえ
出版日2013年01月
平均点5.25点
書評数4人

No.4 6点 まさむね
(2019/03/23 19:12登録)
 ある意味で「裏・湊かなえ」といった印象の短編集。収録6作品のうち、前半3作品がよかった印象。
 マイベストは日本推理作家協会賞受賞作の「海の星」。味のある反転、そして何より、「画になる」作品でした。ミステリとしては「みかんの花」も佳作。色々と考えさせられた「夢の国」がその後に続くかな。

No.3 5点 E-BANKER
(2016/02/14 11:43登録)
瀬戸内海に浮かぶ島、“白綱島”を舞台にした連作短篇集。
日本推理作家協会賞にも輝いた「海の星」ほか、島に生まれた人たちの島への愛と憎しみが生む幾篇の謎。
2013年発表。

①「みかんの花」=母と妹を捨てて島を出た姉はベストセラー作家となって島へ凱旋した(!)。姉が島を出た秘密が最終章で明らかにされたとき、姉の隠された想いを知る・・・。このベストセラー作家って作者のことだろうな・・・
②「海の星」=冒頭の紹介どおり、日本推理作家協会賞を受賞した作品。さすがにそれだけのことはある佳作。父親が行方不明になった母子家庭に足繁く通う“おっちゃん”。おっちゃんの行動の裏にはある事実が隠されていた! これも最終章で明らかに!
③「夢の国」=まさに夢の国=東京ディズニーランドのことです。確かに昔は田舎の子供たちの多くは、この「夢の国」に思いを馳せていたのだろう・・・。閉鎖的な世界に身を置く夢見る少女にとってはなおさら・・・
④「雲の糸」=母が父を殺すという最悪の家庭に育った主人公。都会へ出た彼は人気歌手となって島へ凱旋する・・・(ってまたしても凱旋)。やっぱり人間って生まれ育った環境から多大な影響を受けるんだよね・・・。(本作のモデルってやっぱりポ○ノ・グ○フテ○だろうか?)
⑤「石の十字架」=父親が自殺し、父親の実家のある白綱島へやってきた少女。クラスでいじめに遭うなか、ひとりの少女と仲良くなるのだが、彼女も陰湿ないじめに遭っていた。そして、成長した少女が大型台風に遭遇した晩・・・
⑥「光の航路」=これも「いじめ」を題材にした作品。小学校の教師となって故郷に帰ってきた主人公にもたらされたいじめ事件。その事件に対処するうち、同じく教師をしていた父親の過去を知ることになるのだが・・・

以上6編。
「白綱島」のモデルは完全に広島県の因島で、作者の生まれ故郷である(とのこと)。
でも作者って故郷・因島を好きだったんだろうか?
ひとつひとつの作品は人間の心の機微が描かれ、さすがに旨いとしかいいようのない作品が並んでいる。
①や②は短篇ミステリーとしても上出来で、権威ある賞を受けるだけのことはあるのは間違いない。

でも個人的になんか好きになれないんだなぁー。
田舎と都会の対比って、このネット社会(この表現も古いけど)ではいかにも古臭いように思えてしまう。
確かに田舎のしがらみや閉鎖性は間違いないけど、ここまであけすけに書かれると、なんだか反発したくなってしまう。
それに暗すぎだろう。テーマが!
読み進めるうちにどんどん重い気分にさせられる読書だった。
(作品の質はまったく問題ありません。気分的な問題ということ)

No.2 5点 バックスクリーン三連発
(2013/07/16 10:05登録)
湊かなえはさらっと読める代わりに
内容もさらっと記憶から消えてゆく。
さらに本書は短編なのでこれもさらっと記憶から
消えていくのでしょう
瀬戸内海に浮かぶ島を中心とした短編でした
どれもこれも子どもの頃いじめられていました
という社会のストレスがつめられた題材で
ちょっとうんざりです
それが著者の特徴かもしれませんが
いずれにしても今回はさわやかなエンディングを
用意していたと感じました

No.1 5点 白い風
(2013/03/19 22:23登録)
島の住民の気持ちを描いた6編の短編集。
基本子供の時のイジメなどによる心の傷を持った主人公の話が多かったですね。
だから、やっぱり暗かったね。
冒頭の「みかんの花」が一番ミステリらしかったので面白かったかな。
ラストの意外性では「海の星」が一番でした。

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