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ミステリの祭典

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メルキオールの惨劇

作家 平山夢明
出版日2000年11月
平均点6.50点
書評数2人

No.2 8点 虫暮部
(2022/06/20 11:53登録)
 目の前には汚泥が積み上げられており、それを掻き分けて底に至ると、そこには輝きのようなものが見出される。明らかに宝石ではないけれど、或る種の美しさではある。何某かの感動を覚えたことは間違いない。但し、泥の量を鑑みると、割りに合うのか判断は難しい。
 平山夢明を読むことは、自らの耐性を測ると同時に、決して麻痺しきってはいないと確認する行為であるが、それ自体によって状態が悪化することもあり得るので注意が必要だ。

No.1 5点 メルカトル
(2020/12/30 22:15登録)
人の不幸をコレクションする男の依頼を受けた「俺」は、自分の子供の首を切断した女の調査に赴く。懲役を終えて、残された二人の息子と暮らすその女に近づいた「俺」は、その家族の異様さに目をみはる。いまだに発見されていない子供の頭蓋骨、二人の息子の隠された秘密、メルキオールの謎…。そこには、もはや後戻りのきかない闇が黒々と口をあけて待っていた。ホラー小説の歴史を変える傑作。
『BOOK』データベースより。

序盤、「俺」は自分の子供の首を切断した女にインタビューを試み、必然的に何故殺害切断したのかに興味が持たれるところですが、それが自然女の息子二人に焦点が当てられて行き、切断理由はどうなったんだってなります。ストーリーはもうそんな事どうでも良いというように進んでいき、全く何なの?と疑問を持たざるを得なくなり、読者は置き去りにされます。まあ結局そのテーマは明らかにはなりますが、どうにも釈然としないものが残る感じですね。

ジャンルは断じて本格ではないです、ホラーの一種です。でも平山にしてはあまりグロくはありません。途中哲学的な要素も出現しますし、何だか理解不能な感じの兄弟の秘密も飛び出して、それが主題になっていきます。ですが、全然ホラーの歴史を変える傑作ではありません、ごくごく普通のどこにでもあるような作品です。一寸無国籍な雰囲気が異色と言えば異色ですけど。特に秀でたところはないと思います。何と言うか、全体的にどこか煮え切らない不完全燃焼な感じを受けました。

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