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ミステリの祭典

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黒い壁の秘密
アマチュア登山家アバーグロンビー・リューカー

作家 グリン・カー
出版日2013年04月
平均点5.50点
書評数2人

No.2 5点 nukkam
(2014/08/13 12:28登録)
(ネタバレなしです) 1952年発表のアバークロンビー・リューカーシリーズ第6作の本格派推理小説です。事件は早い段階で発生するものの、事故か殺人か曖昧な状況が長く続きます。ある意味リアルな捜査描写なのですが、やっぱり事故死でしたなんて結末を期待していない読者としては少々冗長に感じられ、早く殺人と断定して捜査を進めてほしいなと思わずにいられませんでした。殺人と仮定(そうに決まっていますが)しても動機がさっぱり見当がつかないという状況が長々と続くのも捜査がなかなか進展しない原因です。あー、じれったい(笑)。本格派推理小説としての謎解き伏線はちゃんと用意しているのですが、前半を盛り上げる工夫が足りないのが辛いところですね。山岳描写はさすがに手馴れたものです。

No.1 6点 kanamori
(2013/05/19 12:20登録)
アマチュア登山家にしてシェークスピア俳優のアバーグロンビー・リューカーを探偵役にしたシリーズ第6作。

雄大な山岳風景を舞台背景にクリスティ風の端正な本格ミステリになっていて非常に好感がもてる作風です。リューカーと妻のジョージーのコージー風のユーモラスなやり取りも良です。真犯人の動機つながる伏線の張られ方が丁寧すぎるので途中で真相を察することができましたが。
また、シリーズ全作を解題するために原書すべて再読したという森英俊さんの文庫解説がすごいです。これだけされたら創元社もシリーズの続刊を出さざるをえないでしょう。

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