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ミステリの祭典

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数えずの井戸

作家 京極夏彦
出版日2010年01月
平均点6.50点
書評数2人

No.2 7点 小原庄助
(2017/12/13 10:15登録)
青山播磨守主膳に盗賊の父を殺され、皿を割った自分の指を切られたお菊が、怨霊になるため井戸に身投げする馬場文耕「更屋敷弁疑録」をベースにしながらも、青山鉄山が家来に皿を割らせてお菊を陥れる浅田一鳥らの浄瑠璃「播州更屋敷」、お菊が青山播磨の愛を試すため故意に皿を割る岡本綺堂「番町更屋敷」などのエッセンスも加え、今までにない物語を作り上げている。
青山播磨とお菊は、善人に描かれることもあれば、悪人とされることもある。作者は、語り手によって名前も性格も異なる登場人物を、内面の違いにより複数のキャラクターに分割。各章ごとに主人公を変えることで、更屋敷怪談の原因となったむごい事件が起こるまでを多角的に捉えていく。
本書の登場人物は、全員が心に闇と虚無を抱えているが、それは凶悪犯罪を引き起こすような極端なものではない。いつも褒められたいと思っている播磨の家臣・十太夫、欲しいものは絶対に手に入れてきた名門の娘・吉羅など、誰の心にも潜んでいる小さな悪意ばかりなのだ。
それだけに、必ず共感できる人物が見つかるように思える。こうした負の感情が惨劇の引き金になる展開は、その理由がリアルなだけに、心の闇と向き合う契機になるだろう。怪談という娯楽作品の中に、さりげなく教訓を織り込むテクニックは、江戸戯作の伝統を受け継いでいるようで興味深かった。

No.1 6点 TON2
(2013/02/13 18:39登録)
中央公論社
 番町皿屋敷の京極版リライトです。けっこう厚い本ですが、割合スラスラと読めました。

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