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ミステリの祭典

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喪失
ジャック・キャフェリー警部シリーズ

作家 モー・ヘイダー
出版日2012年12月
平均点7.00点
書評数2人

No.2 7点 猫サーカス
(2019/04/01 18:35登録)
東野圭吾「容疑者Xの献身」などを抑えて米エドガー賞最優秀小説賞を受賞した警察小説。スーパーの駐車場で車が強奪され、後部先に少女が乗っていた。目当ては車だから少女はすぐに降ろされるだろうというキャフェリー警部の予想は外れ、少女は帰らなかった。しかも、過去にも似た事件が発生していることが判明。そこへ第2の事件が起きる。幼い時に兄が小児性愛者の犠牲になるというトラウマを抱えるキャフェリーは、内向的で孤独な人間。珍しく心を動かされた女性警官フリーにも、ある出来事から不信の念を抱いている。そんなキャフェリーとフリーの執念にも似た捜査が綿密に描かれ、ぐいぐい物語に引き込まれる。被害者家族、とりわけ母親たちの絶望と悲嘆、娘を取り戻したいという強い思いにも心が揺さぶられた。手に汗握るラストまでサスペンスが途切れず、読み応えがある。

No.1 7点 kanamori
(2013/01/06 18:22登録)
昨年度のアメリカ探偵作家クラブ最優秀長編賞(エドガー賞)受賞作品。
英国西部ブリストルの重大犯罪捜査隊に転属したジャック・キャフェリー警部シリーズの5作目です。

連続少女連れ去り事件を発端に、中盤から終盤にかけて事件の様相が劇的に変転する読み応えのある警察小説風のサスペンス大作で、以前読んだ初期作のようなエグい描写は抑えめで、あるミステリ趣向を施すなど単純なシリアル・キラーものでない点は評価できると思います。ただ、シリーズを通した過去のエピソードに説明不足なところがあり、個人的には、ミステリの完成度では同じエドガー賞候補の「容疑者X」に分があるように思いました。
登場人物では、個性的な潜水捜索隊の女性隊長・フリー・マーリーが主役を食う活躍で、キャフェリーとの過去の因縁含みで今後の展開が楽しみではあります。

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