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ミステリの祭典

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007/ダイヤモンドは永遠に
007

作家 イアン・フレミング
出版日1960年07月
平均点6.50点
書評数2人

No.2 6点 蟷螂の斧
(2022/03/10 16:36登録)
大ファンであるショーン・コネリー氏主演の6作をこれで読み終えました。本作(シリーズ4作目)は映画(シリーズ7作目)の内容と一番かけ離れたものでした。小説はボンドの原点であり、やはり映画とは違う味わいがあります。この後の「ロシアから愛をこめて」や「ゴールド・フィンガー」に通じるアクション・シーンが多々ありました。ボンドを助けるティファニーのキャラクターが秀逸です。小説ではNO.1、映画では「ロシアより愛をこめて」のタチアナがNO.1(笑)

No.1 7点 クリスティ再読
(2019/02/08 00:08登録)
007というといくつか伝説があって「JFK御愛読!」は有名なんだが本サイト的にはどうでもいい。しかし「レイモンド・チャンドラー絶賛!」の方はやはりひっかかりがあろうというものだ。
で本作、もともと「チャンドラー風スパイ小説」と呼ばれていたシリーズ中でも、一番チャンドラー風味が強いように感じた。舞台はアメリカで、ギャングたちの中にボンドが潜入する話で、結構警句も飛ばしてくれる。ボンドガールのティファニーも悪女系で元々敵方なのが裏切るタイプだし..とハードボイルド・タッチがシリーズ中でも一番高い話だろう。
とはいえ、それだけじゃ、ない。読んでいて一番「チャンドラーっぽい!」って感じるのは、会話は直接事件に関わらないムダ話をしているのに、いざアクションが始まる..となると、サクッと章を変え視点を変えて結果にすっ飛ばす。こういった省筆の妙味みたいなものが、チャンドラーっぽさの原因のようだ。いいな、粋だな。
話はチンピラにすり替わって、ボンドがダイヤ密輸の運び屋をやって、その報酬を受け取る段に、競馬のイカサマやカジノのイカサマに遭遇しつつ、次第にダイヤ密輸の黒幕に近づいていく、という大変地味な話。なので競馬場のデテールとイカサマの攻防、買収された騎手へのリンチと、ここらへんが一番面白く感じた。地に足が付いたリアルな話なんだよ。チャンドラーが褒めるのも、むべなるかな。
で、カジノのブラックジャック勝負に見せかけたイカサマで、ボンドは密輸の報酬を得て、指令に背いてさらにルーレット勝負で4倍に増やす。合計2万ドル。うち1万5千ドルを、5千ドル紙幣に替えて、Mに郵送で送る....ね、5千ドル紙幣といえば例のマディソンの肖像画。チャンドラーへのご挨拶なんだろ。
ついでだから映画も見たが、コネリー復帰なんだが老けて太って、カッコ悪い。原作の地に足の着いた面白みが全然ない、大味なSF陰謀モノでドッチラケ。思うんだが、ダイヤモンドにこだわってこだわって、その美と魔性で映画にしたら、良かったんだろうとも思うんだよ。宇宙兵器のレーザー増幅器に使うじゃ、ダイヤモンドも泣いてるぜ。

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