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ミステリの祭典

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泡坂妻夫引退公演

作家 泡坂妻夫
出版日2012年08月
平均点5.50点
書評数2人

No.2 5点 虫暮部
(2019/05/20 10:35登録)
 私は泡坂妻夫の現代ミステリのみ愛しているので、否応なしに氏の全ジャンルを縦断して読まされるこの本は有難迷惑なのである。ファンらしからぬことを言うなら"コスト・パフォーマンスの悪い本”。
 ミステリ度低めな短編が多く話そのものにはあまり乗れなかった分、泡坂妻夫の文章の心地良さを再確認は出来たけれど、だからと言って今まで避けて来た時代物や職人物の本に手を伸ばそうと言う気にはならなかった。幾つかの現代ミステリの中では、『煙の殺意』あたりに収録されてもおかしくない「荼吉尼天」が収穫か。

No.1 6点 kanamori
(2012/09/16 22:05登録)
雑誌に掲載されたままだった短編を、シリーズ・キャラクターや類似テーマ別に分類・編集した、箱入り2冊セットの単行本未収録作品集。

亜智一郎やヨギ・ガンジーのお馴染みのシリーズもののほか、紋章上絵師の「わたし」が関わる家紋にまつわる因縁話の連作シリーズ、奇術道具専門店シリーズなど、作者のプロフィールを具現化したような多彩な作品が揃っているので、(作品の出来はともかく)往年のファンのひとりとして楽しく読めました。
なかでも、江戸城の雲見番・亜智一郎シリーズ7編のトボケタ雰囲気が相変わらず面白い。もし最終話が書かれていたら、幕末動乱が背景になるだろうから、タイトルは「亜智一郎の遁走」とでもなったのだろうか。
あと、どの分類にも入らない作品では、ホラー系やSFコントのほか、中編の本格ミステリ風戯曲「交霊会の夜」が印象に残った。

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