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ミステリの祭典

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上靴にほれた男
チビ医者の犯罪診療簿2

作家 ジョルジュ・シムノン
出版日1958年11月
平均点5.50点
書評数2人

No.2 6点 クリスティ再読
(2018/09/01 22:22登録)
メグレ以外のシリーズキャラクター、チビ医者ジャン・ドーランが活躍する短編集の後半7作である。リュカが警部でトランスも出る..がパラレル・ワールドのようだ。あまり似ていない。明確に設定された「謎」を解く趣向の作品で統一されているが、トリック優先なものではなく自然に提示された謎を解く感じのもの。メグレよりチビ医者の内面を描いているので、「名探偵!」とヨイショされて気後れするさまなど、こりゃ「アマチュアの本懐」(苦笑)というものだ。自信なさげだが、結構俗っぽいあたりフツー人名探偵で、何か、いい。
また、どの作品もキャラ立ちした登場人物がいるのがシムノンらしさがあって、そのキャラの性格が謎解きにうまく結びついている。表題作の「上靴にほれた男」だと、毎日デパートを訪れてスリッパを買っていく男がいる。その意図は?と思うやスリッパを試着中にその男が狙撃されて殺された...まあ、メグレの短編でも謎解き色の強いのはたまにあるしね。しかしアマチュアのチビ医者だと成り行きで大捜査網の指揮をすることになって、おっかなびっくりなのがナイス。まあそういう短編集。気楽にどうぞ。

No.1 5点
(2012/09/07 16:59登録)
チビ医者の犯罪診療簿の第2巻で、7編が収録されています。最初の『オランダ人のぬれごと』の冒頭に登場するのはメグレものでもおなじみのリュカです。トランス刑事の名前も出てきますが、メグレもの常連とはイメージが違うような…
犯罪診療簿も後半に入って、名探偵として知られるようになったジャン・ドーラン医師、パリなどへ事件の依頼を受けて出かけていくようになります。7編中最も気に入ったのは『提督失踪す』。ごく短時間での不思議な人間消失事件の上に、さらに1件人間消失が起こる展開で、解決もなかなか鮮やかにうまく処理してくれています。『非常ベル』はこのシリーズ中の異色作というべきで、謎解き要素もありますが、むしろドーラン医師の身に迫る危険のサスペンスが中心になっています。
最後の方になると、多少息切れが感じられるところもありますが、全体的にはそれなりに楽しめました。

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