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ミステリの祭典

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未熟の獣

作家 黒崎緑
出版日2002年05月
平均点6.00点
書評数2人

No.2 6点 人並由真
(2023/05/15 21:19登録)
(ネタバレなし)
 その年の三月。とある公園で、未就学児の女子の殺害された死体が発見される。謎の犯人による誘拐殺人と思しきその事件は、やがて次の展開へと……。一方、恋愛小説作家で34歳の独身、年下の恋人がいる「カッキ」こと桂木まゆみは、かつての級友・雨宮真弓と旧交を温めるが……。

 お名前は以前からあちこちで(本サイトも含めて)拝見している作者だが、実作は今回が初読み。
 先日、Twitterでサプライズ度の高い(高そうな)作品、という評価を見かけたので、興味が湧いて読んでみた。

 連続幼女誘拐~殺人事件を主題にした筋立てだが、陰惨度はそんなにひどくない筆致でカラっとしている。それでも適度にザワザワした感触の、どこか気を惹かれる心地悪さは、なんとなくあの、リチャード・ニーリィの諸作に通じるものがある。

 一読すると、期待していたほどの大技は用意されていなかったが、イヤンな手数の多さはそれなりに、ボディーブローのジャブとなってこちらに効いてくるところはある。そういう意味ではそこそこ、の出来ではあろう。

 リーダビリティはかなり高く、読んでいる間はそれなりに楽しめた。

No.1 6点 蟷螂の斧
(2012/10/09 10:54登録)
公園で少女が殺害され、手には「1+1=」のダイイングメッセージ?が握られていた。さらに少女の行方不明事件が発生し、フーダニット風なミステリーが展開します。しかし、それが主題ではないような感じもします。主な登場人物は、近隣の付き合いができない不審な行動をとる主婦、オタクな兄弟、主人公(女流作家)とその恋人(優男)ですが、それぞれがどこかネジが外れているような・・・。心の闇をのぞくようなサスペンス風味の色濃い小説で、雰囲気は良く楽しめました。

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