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ミステリの祭典

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ヘンたて
ヘンたてシリーズ

作家 青柳碧人
出版日2012年06月
平均点5.50点
書評数2人

No.2 6点 メルカトル
(2019/03/18 22:04登録)
幹館大学ヘンな建物研究会、通称「ヘンたて」に入会した新入生の中川亜可美。個性豊かな仲間と一緒に新歓合宿で訪れた先は、扉が12枚ある離れを持つ老舗旅館だった。さらに高さ100メートルのエレベーター式マンション、城跡に残された隅櫓脇の謎のスペース、客室に回転ずしが流れるホテルなど、活動と称して見にいく建物は常にいわくつきで…。「へんたて」に隠された謎をゆるやかに解き明かす、新感覚の青春ミステリ。
『BOOK』データベースより。

ヘンたてのメンバーは7人ですが、それぞれ個性豊かでキャラが立っています。誰が探偵役という訳でもなく、その時々によって誰かしらが閃いたり推理したりして活躍し、ヘンな建物に纏わる謎を解いていきます。最も探偵らしい鯵村は他校の学生なので一話しか出番がないのが私には残念でした。
また、主人公の亜可美の淡い恋にもスポットライトが当てられて、青春小説として爽やかな印象を与えます。タッチが柔らかく読み心地は良いのですが、どこか物足りなさを感じる読者もいるかもしれませんが。

個人的にベストは第二話の部屋自体がエレベーター式で上下するという奇想天外なマンションの話で、かなり無茶な設定ではありますが、家賃が20万なら住んでみたいと思わせるに十分な建物であります。結局いい話で終わりますが、それはこの短編集全般に言えることで、それぞれがどことなく甘酸っぱい青春の香りを放っているように思えてなりません。
最終話だけはちょっと毛色が違って、本格ミステリに近い仕上がりになっています。各大学の推理合戦がなかなか面白いのですが、まあダジャレを前面に押し出した脱力系の謎解きが多い中、まともな推理でトリを飾るヘンたてチームでしたが、果たして真相を言い当てるのはどこの大学なのか?
たまにはこうしたほのぼのとした作品も肩が凝らなくてよろしいのではないかと思う次第だったりして。

No.1 5点 虫暮部
(2012/08/22 16:52登録)
 流石に犯罪には応用出来そうに無いネタをクイズ仕立てetc.で出題する、日常ならぬ“非日常の謎”作品集である。特に第一話は爆笑。
 一人称の語り手の予定調和的なモノローグが随所に挿入されるのが邪魔。これは語り手が文章家ではないからこのレヴェルの文体、という“設定”なのだろうか。文章がもう少し巧みなら更に楽しめた。

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