home

ミステリの祭典

login
獅子の血戦
ジョン・コーリーシリーズ

作家 ネルソン・デミル
出版日2012年07月
平均点6.50点
書評数2人

No.2 6点 YMY
(2019/08/10 11:14登録)
リビア人テロリストのハリールと米国のテロ対策捜査官コーリーとの命がけの戦いが描かれる。冒頭のパラシュート降下から終盤の死闘まで、まさに手に汗握る場面の連続。コーリーのへらず口も楽しく、一気読みの保証付き。

No.1 7点 Tetchy
(2012/08/19 20:49登録)
待ちに待った『王者のゲーム』の続編がようやく出版され、そして無事訳出されることになった。これを愉しみにしていたわが身にとってなんと嬉しい出来事だろう。

刊行は10年後だが物語の中の時間で云えば、前回の事件から3年後、そして9.11からは1年半以上経った頃の話だ。つまりようやくグランド・ゼロを整備し始めながらも、まだテロへの恐怖が冷めやらぬ時期の頃だ。そんな中、アサド・ハリールはアメリカへ上陸する。
とにかくアサド・ハリールが絡むと物語も加速する。早くも前作取り逃がした獲物チップ・ウィギンズも開始100ページの辺りで早々に屍と化す―しかも至極凄惨な殺され方で!―。そして引き続いて150ページ辺りですぐさまハリールはケイトを毒牙にかける。いやあ、デミルの筆は最初からフルスロットルだ。

しかし中盤コーリーのパートで間延びしてしまった感があったのが残念だ。組織内のそれぞれの立場の人間の保身と手柄の取り合いといった政治的ゲームが物語の疾走感にブレーキを掛けたように感じてしまった。後半ハリールが再度登場してからはアクションシーンの連続で緊張感が再び甦っただけに、この中だるみが勿体ない。

前作を私が読んだのが2005年だから6年待たされた続編は私の期待に応えてはくれたが、期待以上だったかと云えばそうではない。やはりハリールの行動に焦点を当て、アクション重視で物語を運ぶべきではなかったか。巻末の解説によればコーリーシリーズは今後も続くとのこと。本作以上のスリルとサスペンスを期待しよう。

2レコード表示中です 書評