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ミステリの祭典

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焦げた密室

作家 西村京太郎
出版日2001年11月
平均点4.50点
書評数2人

No.2 5点 nukkam
(2015/12/29 18:40登録)
(ネタバレなしです) トラベル・ミステリーの量産作家として大成功した西村京太郎(1930年生まれ)の長編第1作は社会派推理小説の「四つの終止符」(1964年)(私は未読です)ですが、本書はそれよりも前の、懸賞小説に応募しては失敗していた時代の1962年に書かれたそうです。奇跡的に原稿が発見されて2001年に出版されて陽の目を見ましたが、何と本書はユーモア本格派推理小説です。「四つの終止符」が出版されて本書がボツになったのも社会派推理小説全盛の時代の流れだったのでしょうか。ユーモアに関しては不器用な印象を受けますが謎解きはしっかり考えられています(とはいえ犯人当てとしてはちょっと不満もあります)。出版にあたって改訂されたそうですが、古典ミステリーの露骨なネタバレは削除してほしかったですね。

No.1 4点 E-BANKER
(2012/08/19 13:18登録)
西村京太郎「幻の処女長編」と銘打たれた本作。
昭和35年、江戸川乱歩賞応募のために作者が書き上げたのが本作だが、それに手を入れてメデタク幻冬舎より出版となった。

~48歳の男3人が相次いで姿を消す事件が発生。失踪か誘拐か判然としないまま騒然とする田舎町で、密室殺人事件は起きた。容疑者を特定できない警察の捜査は混迷を極め、自称作家の江戸半太郎が事件解明に乗り出す。が、新たな殺人が起き、同時に「3人の失踪者を誘拐した」との脅迫状が届く・・・。複数の事件が絡み合う会心の本格ミステリー~

やっぱり、これは「習作」レベルだろう。
紹介文を見ると、さも魅力的な本格ミステリーに思えるし、事実最近のトラベルミステリーなどと比べると、随分作風が違うなあという印象ではある。
でもなぁ・・・タイトルに「密室」と謳ってて、このトリックはないよなぁ。
作中では格好よく「心理的密室」などと書いてるけど、こりゃ超初歩的な欺瞞だろう。
アリバイトリックに利用されるある小道具についても、これだけでは警察の怠慢を期待しないと成立しないトリックではないか?

真犯人も分かりやすいよなぁ・・・
他に犯人らしき人物が見当たらないので、「動機」にも察しが付いてしまう。
ということで、本格ミステリーとしてはちょっと評価できない。

まぁでも作者の心意気はよい。
この頃の作者は、何とか作家になってやろうと、当時の唯一の登竜門である乱歩賞に毎年複数作品を応募していたとのこと。
作中にもミステリーへの愛情が溢れていて、やっぱりこういう人こそ売れっ子作家になっていくんだなぁという感慨に耽ってしまう。
まっ、心を広くして読んでいただきたい一冊。

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