home

ミステリの祭典

login
ルーズヴェルト・ゲーム

作家 池井戸潤
出版日2012年02月
平均点7.50点
書評数2人

No.2 7点 haruka
(2014/03/28 23:23登録)
企業小説としてはいつもの池井戸テイストで、業績不振の青島製作所を舞台に、リストラを中心とした再建策を進める経営陣の苦悩を描いている。廃部の危機にさらされる野球部のエピソードに胸を熱くさせられる。著者が意外と野球の造詣が深く、野球シーンも十分面白かったです。

No.1 8点 E-BANKER
(2013/06/04 21:34登録)
直木賞受賞作「下町ロケット」に続いて発表された長編がコレ。
もともとは熊本日日新聞など地方新聞数誌に連載されていたものを加筆修正し出版した作品。

~中堅電子部品メーカー・青島製作所の野球部はかつては名門と呼ばれたが、ここのところすっかり成績低迷中。会社の経営が傾き、リストラを敢行、監督の交代、廃部の危機・・・。野球部の存続をめぐって、社長の細川や幹部たちが苦悩するなか、青島製作所の開発力と技術力に目をつけたライバル企業・ミツワ電器が合併を提案してくる。青島製作所は、そして野球部はこの難局をどう乗り切るのか。負けられない勝負に挑む男たちの感動の物語~

うーん。なんでだろう?
いつもの『池井戸節』、「空飛ぶタイヤ」や「下町ロケット」と同じプロットのストーリーが展開されてるんだけど・・・
どうしてこうも感動させられるのか?

本作でも、登場人物ひとりひとりは、悩み、喜び、悲しみ、そして話し合い、ひとつひとつ問題を解決していく。
でも必ずぶち当たる「壁」、そして最後に訪れる「歓喜」。
全てが予定調和、いつもの勧善懲悪なのに・・・それでも登場人物の姿に自身を重ね合わせ一喜一憂している自分がいるのだ。

思いもかけず指名された社長というポストに悩む「細川」、細川に社長職をさらわれた「笹井」、総務部長兼野球部長としてリストラと廃部の板挟みに苦悩する「三上」、そして野球部の面々・・・
みんなが己の矜持をかけ、与えられた立場で全力を尽くしているのだ。
その姿が心に染み入るのだろう。
まさに作者のいう「全てのサラリーマンへの応援歌」ということなのだろうし、青臭いのかもしれないが「オレも頑張ろう」という気にさせられた。

もちろん現実はこんなにうまくはいかないことばかりなのだけど、たまにはこういう男たちの「汗臭い」物語に浸ってみるのもよいのではないでしょうか。
エピローグはちょっと蛇足のように感じたけど・・・

ただまぁ、ミステリー的要素はほぼないということで、評点はこのくらいで抑えることに。
(因みにタイトルは、野球好きの元米大統領F.ルーズヴェルトが語った「野球は8対7の試合が一番面白い」との逸話に基づく・・・)

2レコード表示中です 書評