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ミステリの祭典

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ロスジェネの逆襲
半沢直樹

作家 池井戸潤
出版日2012年06月
平均点7.50点
書評数2人

No.2 8点 haruka
(2012/10/01 01:18登録)
「人事が怖くてサラリーマンがやってられるか」
しびれた。半沢最高。

No.1 7点 E-BANKER
(2012/08/24 19:43登録)
「オレたちバブル入行組」「オレたち花のバブル組」に続く、“破格の銀行員・半沢直樹”を主人公とするシリーズ3作目。
“ロスジェネ”とは、「ロスト・ジェネレーション」の略で、バブル崩壊以降の就職氷河期に社会に出た人たち(世代)のこと。

~ときは2004年。銀行の系列子会社・東京セントラル証券の業績は鳴かず飛ばず。そこにIT企業の雄・電脳雑技集団社長から、ライバルの東京スパイラルを買収したいとの相談を受ける。アドバイザーの座に就けば、巨額の手数料が転がり込んでくるビックチャンスだ。ところが、そこに親会社である東京中央銀行から理不尽な横槍がはいる。責任を問われて窮地に陥った主人公の半沢直樹は、部下の森山とともに、周囲をアッツと言わせる秘策に出た・・・~

本作も、「It's the 池井戸潤」とでも言いたくなる作品。
巻頭に本作を巡る人物相関図が挿入されているが、どれが悪人でどいつが善人かすぐに察しがついてしまった。
本作の舞台は、以前にあったライブドア事件をめぐる経済事件(ニッポン放送に対する買収とか)が下敷きになっていると思われ、ちょっと現在の情勢と比べると「古い」という感覚が拭えないが、造形からして「あの人」を思わせる登場人物が出てたり、買収をめぐる増資やホワイトナイトなど買収対抗策についても、「そういえば、そんなのあったな」と思われる読者も多いだろう。
そして、ラストはいつもどおりの「勧善懲悪」(!) 
これが何とも痛快なのだ。
作者へのインタビューかなにかで目にしたのだが、やっぱり「悪いものは悪い、良いものは良い」という当たり前のことを作品中に明快に訴えたいという「想い」があるようだ。

今回も主人公・半沢の考え方・行動はまさに「サラリーマンの理想像」。
銀行なんていうがんじがらめの組織で作られたヒエラルキーを次々に打ち壊し、自分の信念に従って真っ直ぐに王道を歩んでいく姿・・・
(こんな風に生きてみたいよなぁ・・・)
IT業界というドックイヤーを体現した世界で生きていく人間たちの「姿」も何だか切なく、身に染みてくる。

ただ、買収をめぐる攻防などは初心者向けに分かりやすくしているせいだろうが、ちょっとデフォルメし過ぎかなと思えるし、プロットに安易な部分が目立った点で評価を差し引いた。
(次作を予感させるラスト。半沢はお気に入りのキャラクターらしいので、今後の展開にも期待したい。)

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