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ミステリの祭典

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扉の影の女
金田一耕助シリーズ

作家 横溝正史
出版日1972年03月
平均点4.50点
書評数2人

No.2 5点
(2015/08/13 11:56登録)
かなり以前に読んだ時には凡庸な印象しか受けなくて、内容をほとんど忘れてしまっていたのですが、再読してみると、自分の嗜好が変わってきたこともあってか、そんなに悪くないと思いました。
「この物語は人生にまま起こる不思議な運命の十字路を語るのが目的だった」とは本作最終章の書き出し部分で、その「運命の十字路」の顛末は金田一耕助が筋道立てて説明しているのですから、その時点で本格派ミステリにはなっていると思うのです。その後についてはノックスやヴァン・ダインの原則に違反していますが、事件の最大の謎が名探偵によって解かれた後は、最終章表題どおり「蛇足」と言ってもいいでしょう。
文庫本240ページ程度と短めな本作は短編を膨らませたものだそうで、事件は地味で小味ですし、偶然過ぎると批判する人がいても当然かもしれませんが、それなりに楽しめました。

No.1 4点 nukkam
(2012/08/14 15:03登録)
(ネタバレなしです) 1957年発表の金田一耕助シリーズ第21作ですがこれは結構問題作でしょう。地味な事件を地味に調べる盛り上がりに乏しいプロットなのはまだしも、この真相は本格派推理小説としては反則と批判されても仕方ないと思います。力作だった「悪魔の手毬唄」(1957年)と同年の作品とは思えません。金田一の日常生活が紹介されているのがファン読者へのアピールポイントにはなっていますが。

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