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ミステリの祭典

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冬の灯台が語るとき
エーランド島四部作

作家 ヨハン・テオリン
出版日2012年02月
平均点7.00点
書評数2人

No.2 6点 YMY
(2024/01/05 22:08登録)
昔からいくつもの悲劇を見てきた双子の灯台。そして今また、その近くに引っ越してきたヨキアムが、家族を失い沈んだ日々を送る。
本書の核は間違いなく、このヨキアムの喪失感であり、全編に刻印された哀感だろう。しかし、作者はそれだけにとどまらず、職業犯罪や女性警官の苦悩を描くプロットを絡めた上で、巧緻な計算によって意外にして論理的な真相すら用意する。強固な構成と豊かな肉付けが両立した味わい深い小説である。

No.1 8点 touko
(2012/07/28 13:20登録)
英国推理作家協会賞・ガラスの鍵賞・スウェーデン推理作家アカデミー賞受賞作、だそうです。
日本での評判も上々のよう。

妻に先立たれた夫がけなげに子育てをする内容がメインなのですが、夫婦愛や妻の死の真相が切ないし、田舎暮らしとはいえ、日本ではオシャレなイメージのある北欧の手作りの丁寧な暮らしの描写等、どちらかと言えば、日本では女性読者の方にアピールしそう。

厳しくも神秘的な北欧の自然の描写や、地域に根ざした民話のような趣のある幽霊譚も印象に残ります。

個人的にはちょっとスローテンポすぎるし、ミステリとしては脇道にそれすぎかな? とも感じたんですが、たとえミステリ要素がなかったとしても読ませる作品の上に、ミステリとしても秀逸。
互いの要素が相乗効果をあげていて、不自然さもないという、これぞ文芸とミステリの融合のお手本みたいな作品かと。

探偵役の老人のキャラもよく、強盗の追跡劇のくだりではアクション要素もありスリリング、謎解きも意外性があり、満足しました。

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