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ミステリの祭典

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メグレたてつく
メグレ警視

作家 ジョルジュ・シムノン
出版日1977年03月
平均点7.00点
書評数2人

No.2 7点 クリスティ再読
(2021/02/13 22:33登録)
メグレ、ハニートラップにかかる?
そんな冒頭である。出勤したメグレは若僧の警視総監に呼び出される。政治家筋からメグレに苦情が来ているのだそうだ。政界有力者の姪をホテルに連れ込んだ、というのがその内容。確かに昨晩メグレは電話でおびき出されて、酔っ払った娘をホテルに送って行ったのだが...誰がメグレをハメようとしているのか?
というわけでメグレは直接この件の調査をするのを禁止される。定年も近いから、メグレは地位に恋々とするようなことはないが、それでも自分をハメた狙いが分からないことには、どうにもおさまりが付かない。ごく親しい部下や、後期に登場する仲良しの医者パルドンの協力を得て、メグレは「自衛」する。その結果、意外な犯罪をメグレは掘り当てることになる....と、メグレ自身が当事者となるサスペンス、意外な真相、それにメグレが行き当たるプロセス、と後期の作品ではなかなかの秀作になると思う。
ちなみに本作の次に書かれた「メグレと宝石泥棒」は本作と前後編みたいな恰好になっているが、評者は一緒に手に入れて抜かりは、ない。「宝石泥棒」と本作で登場人物が重複して、「宝石泥棒」の冒頭で本作のネタバレを喰らうことにもなるので、ここは評者も連続して読んで楽しむことにしよう。

No.1 7点
(2012/07/14 20:52登録)
メグレが自宅に帰ってきて、奥さんに今扱っているのは「メグレ事件だ」と言うところがありますが、タイトルもこれに合わせて「メグレ自身の事件」とでもしてもよかったかもしれません。メグレ自身が身に覚えのない罪を着せられそうになるという事件です。パリ警視庁(司法警察)局長は(世代交代もあります)、他の作品にもよく出てきますが、今回メグレを呼び出すのは警視総監です。別の建物の警視総監官房というところにいるということです。
政治家が圧力をかけてきたわけですが、総監から手を出すなと言われているにもかかわらず調べていくと、メグレを陥れようとしている理由はどうも政治がらみではないらしいということになってきます。最後に真相が明らかになってみると、ある偶然と誤解がきっかけになっていたのでした。メグレのたてつきっぷり、犯人の不思議な感じのする性格設定など、かなり楽しめる作品でした。

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