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ミステリの祭典

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ハニー誘拐事件を追う
ハニー・ウェスト

作家 G・G・フィックリング
出版日1966年01月
平均点5.00点
書評数2人

No.2 5点 人並由真
(2023/03/29 20:36登録)
(ネタバレなし)
「わたし」ことロサンジェルスの28歳の女性探偵ハニー・ウェストは、夜中の3時に侵入してきた男に銃を向けられ、裸になるように命じられる。謎の暴漢の目的はレイプではなく、ハニーを軍服に着替えさせ、シルヴィア・ヴァース少尉なる女性軍人の身代わりを務めさせることのようだ? だが暴漢に連行された先でまた事態は急転。ハニーは連続する幼児誘拐事件に巻き込まれていく。

 1958年のアメリカ作品。ハニーシリーズの長編第三弾。
 西村寿行チックでショッキングな冒頭から掴みは万全だが、そのあとがいまひとつ。
 話の弾みひとつひとつは確かにオモシロイのだが、すでに語られた物語の流れが、続く場面場面へと、どうも、スムーズに繋がってこない。
 カメラワークは良し、脚本も悪くない、しかし編集だけがかなりよろしくない、そんな映画を観ているような気分であった。

 最後のドンデン返しというか、意外な真相には結構驚かされた(まるで……・以下略)が、そこまでのゴタゴタ感で大きく減点。
 やる気と狙いだけいえば、これまで読んできた本シリーズの作品の中でもけっこう高めの内容なんだけどなあ。惜しい一冊だと思う。

No.1 5点
(2022/03/29 21:01登録)
ハニー・ウェストのシリーズ第3作は、深夜ハニーが事務所に現れた男に拳銃を突き付けられ、服を脱げと脅されるシーンから始まります。すぐに男の言葉は、別の服に着替えさせるのが目的だとまともな説明がつけられますが、そんなまず読者を驚かせておいて、という趣向が全編にわたって繰り返される作品です。以前読んだのはシリーズ第8作だったので、少しは落ちつきが出て来ていたということなんでしょうか。本作はともかくむりやり危機一髪連続展開にしてしまおうという意欲ばかりが目立ちます。正当防衛も含め、殺される人の数もやたら多いですし、ハニー自身ずいぶんひどい目に合わされます。
誘拐事件の真相については、意外ではあるのですが、ハニーを巻き込むことになったそもそもの理由には、必然性が全くありません。他にもご都合主義だらけではあるのですが、読んでいる間はそれなりに楽しめてしまいました。

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