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ミステリの祭典

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ファイナル・オペラ
オペラ三部作

作家 山田正紀
出版日2012年03月
平均点6.00点
書評数2人

No.2 7点 虫暮部
(2024/08/09 11:49登録)
 山田正紀は神だけでなく仏も狩るのか。
 物語の核がなかなか定まらないのは大問題。ようやく見えてきたのは堅固な構築物ではなく川面に揺らぐ影のようだった。多重解決をあそこまで繰り返してしまうと、残る真相はもうアレしかない、と言う形で先が読めてしまうのには困ったな。
 過剰な表現も強引な暗合も呑み込んで作者が突き刺したかった一つの祈り。つまり狂気とは狂った世界に対する正常な反応である。儚き者よ、物狂え。

No.1 5点 nukkam
(2021/04/19 08:27登録)
(ネタバレなしです) 2010年から2011年にかけて雑誌連載されて2012年に単行本化されたオペラ三部作の最終作である本格派推理小説ですが、過去2作が回想されることもなく探偵役の黙忌一郎もいつのまにか登場していつのまにか退場するところも変わらず最終作的な演出は感じられません(第4作が書かれてもおかしくない)。タイトルにオペラを使っていますが西欧的な要素は皆無で、むしろ本書では能の世界が濃厚に描かれて和風テイストが非常に強いです。謎や怪現象が沢山提出されているところはいいのですが語り手の証言がとらえどころがなくて幻覚ではないかと思わせており、その幻想性も作者らしいのではありますがミステリーとしては勘違い系の腰砕け真相の可能性を残して物語が進むのは賛否が分かれそうな気もします。登場人物の名前が非常に覚えにくいのも辛いところです。それでも合理的な推理で謎が次々に解けていきますが最後は幻想の彼方にという幕切れです。私の理解力ではハードルが高過ぎる作品でした。

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