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ミステリの祭典

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死の部屋でギターが鳴った

作家 大谷羊太郎
出版日1973年01月
平均点5.50点
書評数2人

No.2 6点 nukkam
(2015/12/03 15:05登録)
(ネタバレなしです) 1973年発表の本格派推理小説で、似たようなタイトルで「死を運ぶギター」(1968年)(後に改訂されて「死を奏でるギター」(1986年))がありますが本書とは別物です。「殺人予告状」(1972年)に続く、芸能プロダクションのマネージャー松原直人の巡業殺人シリーズ第2作ですが巡業描写はぐっと控え目になり、その代わりに第一容疑者となってしまったためか松原の活躍がより鮮やかになりました。ドアも窓も「鍵のかかっていない」密室という風変わりな不可能犯罪を扱っているのが珍しいです。トリックは成功したとしても犯人を隠すのに有効だったのか疑問ではありますが、アイデア自体はなかなか面白かったです。

No.1 5点 kanamori
(2012/04/05 18:29登録)
芸能プロ社員の主人公を探偵役に据えた初期の”地方巡業殺人”シリーズの1冊。第12回江戸川乱歩賞の最終候補作を改稿・改題した作品です。
コンサート会場の楽屋で女性歌手が殺される。現場周辺が密室状況だったため容疑者になった主人公は事件の謎を追い、過去の米軍基地内の密室殺人が関係していることを突きとめる、というのが粗筋です。

学生アルバイト楽団に芸能界ネタと、作者の経歴・経験が色濃く反映した物語背景には魅力を感じず、現在と過去の2つの密室の謎だけが読みどころでした。米軍倉庫の方は平凡ですが、楽屋が密室状況になったトリックはちょっとユニーク。原理は”思考機械”シリーズのある作品を連想させますが、作者のギタリストとしての体験が発想のヒントになったのでしょうか。

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