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ミステリの祭典

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警視庁捜査一課南平班
警視庁捜査一課南平班

作家 鳥羽亮
出版日1993年03月
平均点4.50点
書評数2人

No.2 5点 nukkam
(2025/12/18 03:13登録)
(ネタバレなしです) 1993年の本書はいかにも警察小説といったタイトルですが講談社ノベルス版の裏表紙には「大好評本格推理」と謳っており、著者のことばには「謎解きのおもしろさと、警察というプロの集団ぶりを描きたい」と書いてあったので本格派好きとして読んでみました。警視庁捜査1課の南部平蔵警部と5人の部下の捜査を描いています。組織捜査を好まない南部、他の5人も個性的と作中で紹介されていますが、臣さんのご講評でも指摘されているようにそれほど強力な個性は感じられず普通にチーム捜査しています。被害者の顔を潰す連続猟奇殺人の謎解きで、被害者たちの過去に若気の至りではすまないような集団犯罪の影が浮かび上がる物語は暗く重苦しいです。捜査の方向性を読者に隠さない展開なので読者が推理に参加する感覚を味わえず本格派らしさはあまりありませんが、最終章で明かされる逆転発想は鮮やかです(一応の伏線もあります)。心理描写にすぐれた作品ではありませんけど、犯行の特徴から残忍なくせに寂しさに耐えられないと分析する南部のせりふも印象的です。

No.1 4点
(2012/03/22 09:51登録)
「剣の道殺人事件」で江戸川乱歩賞を受賞し、いまは時代小説家として著名になった鳥羽亮の南平班シリーズ。
顔を潰すという東京で起きた猟奇殺人は3年前の箱根の殺人事件に似ていた。そして同様の顔潰し殺人は連続して発生する・・・。

真相に意外性はありますがトリックはありがちです。南平班の班長、南部平蔵の推理はご都合主義的に進んでいくのが妙な感じを受けます。その推理が真相とは少しずれながら進んでいくところはご愛嬌です。まあ、寄り道するからこそ面白いですしね。
地の文によれば、主人公の南部は孤高の人のように想像できるのですが、実際にはそうでもありません。というか、あまり個性的とはいえずイメージが頭に浮かんできません(ドラマでの主人公ともちょっと違う)。よって、キャラクタ物としてはイマイチ。シリーズを通して読めばちがうのかもしれまんが。
さっと読めるところは好印象。

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