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ミステリの祭典

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バルカン超特急―消えた女

作家 エセル・リナ・ホワイト
出版日2002年12月
平均点6.00点
書評数2人

No.2 6点
(2013/11/30 13:40登録)
映画版はヒッチコック・ベストに選ぶ人も多いが、空さんと同様、観たのはかなり前のことで、アクション場面など一部の記憶しかない。
「レベッカ」以前の昔の作品では本作と「三十九夜」しか観ていない。本作映画版も「三十九夜」も必要以上にドタバタとしていたように思う。チャップリンほどの早送り映像ではなかったが、テンポが速すぎるとシリアス物でもお笑いに見えてしまう。当時の映像技術の問題なのか。

原作は、列車内でミス・フロイという女性が消失し、主人公のアイリスはフロイ探しを始めるが、同室の乗客からフロイの存在自体を否定され、アイリスは困惑する、といった筋だ。
スリル満点というよりは、アイリスの内面描写に、他の登場人物の視点描写を織り交ぜながらサスペンスを盛り上げているという感じだ。車内で知り合った青年との会話はユーモアがあり、全体がやわらかいタッチで描いてあって、サスペンスは中ぐらいだが親しみの持てる作品だった。
この原作をそのまま映画化するのはむずかしそう。実在証明の手掛かりなどミステリー的な小道具は同じだが、映画はシンプルにまとめてあって、両者は別物という感じがしてならない。
と思うが記憶は定かでない。

映画版をドタバタ調だと言ったが、実はテンポのいいアクションだったのかな。とにかく忘れているのでもういちど観るべきですね。本作と同じアイデアを採用した「フライトプラン」はよく憶えているのですが。

No.1 6点
(2012/04/25 21:39登録)
これはやはりヒッチコックの有名作と比較せざるを得ない作品でしょう。といっても、映画版を見たのはもう20年以上前で、冒頭のセットを利用した移動撮影とか、列車の窓とか、切れ切れに覚えているだけなのですが。
列車の中で一人の女が消え、しかも同じコンパートメントに乗っていた人たちは、そんな女は最初からいなかったと主張するという設定は同じですが、このアイディアは、作中でも言及される事件が発想源でしょうか。途中で失踪原因について真相とは異なる想像が披露されるところがありますが、ヒッチコックはこの想像の方を真相として採用しています。
最初、本筋の列車とは無関係な部分が50ページ近くあって、映画と比べてすいぶんのんびりしているなと思ったのですが、最後まで読んでみると、これはヒロインを描き出すためには必要だったんだなと納得させられました。

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