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ミステリの祭典

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目には目を

作家 カトリーヌ・アルレー
出版日1961年01月
平均点6.00点
書評数3人

No.3 7点 斎藤警部
(2026/07/19 21:38登録)
“時限爆弾の準備はすっかり整っていた。”

ちょっと読み出したらもう、たまらないぜ。 目次をチラッと見たらもうたまらん。 登場人物表を覗いたらもうたまらねえ。

ジャンは裕福な貴族。 事業を営んでいるが、破産の危機に陥った。 妻アガットとの贅沢な暮らしを続けるには、起死回生の手が必要だ。
そこで目を付けたのが、市民階級の同業者で、自身は小金持ちだが、フィクサー的信用力で巨額のカネを動かす事ができる、十も年上のマルセルだ。
独身の彼は、やはり独身の姉マルトと共に、ジャンの家へと招待される。 マルセルはアガットを一目見るなり、恋に落ちた。

“男にとって、理想は、戦死だわ。”

ほうら来た、シンプル極まりない(?)目次をあらためて追ってみると ・・ 嗚呼、ストーリーへの妄想が勝手に走り出して止まりません。
しまいにゃ各章ページ数のゆらぎにさえ、憶測と疑惑の手が伸びる。

きちがいと、馬鹿と、邪悪な切れ者がいたとして、淘汰される順番はどうなるだろう。

あまり書くとネタバレに繋がるが、二つ目の◯について或る人物が ( 中 略 ) ってのがやっぱり、ミステリとして、ドラマとして、犯罪物語として一番のツイストであり、肝腎のミソだろうねえ。

「あんたも仕合わせにはなれない。 ほんとうの喜びっていうのは、喜びを与えることにあるのに、あんたは、まるでかちかちにかわいた果物だもの」

ちょっとした風景描写良し。
地味なようで凄まじいドラマを含んだアクションシーンもたまらない。
ほんのささやかな叙述の戯れが、最高のカタストロフ結末を導き出す。
スリル良し、サスペンス良しのヴァカンス小旅行でありました。

「あなたはこれから毎晩、この秘密の夢を見るわ」

No.2 6点 人並由真
(2022/05/17 14:46登録)
(ネタバレなし)
 なめし皮工場の経営者で35歳のジャン・ド・フェルラック。美貌の26歳の妻アガットとともに浪費家のジャンは、事業が不順で破産しかかっていた。ジャンは、愚直だが誠実な仕事ぶりで業界に顔の広い45歳の同業者の友人マルセル・ブランカールと、その姉でオールドミスの女医マルトを家に招待し、業務上の便宜を図ってもらおうと考える。だがいまだ独身で女性に免疫のないマルセルの心に、若くて美しい人妻アガットへのひそかな劣情が芽生えた。そんな彼らのなかで、ひとつの殺意が頭をもたげる。

 1960年のフランス作品。アルレーの第四長編(創元文庫巻末の厚木淳の解説では第三長編とあるが、たぶん『死の匂い』をカウントしてない)。
 本文220ページちょっと、主要人物が4人という短めの作品。お話の方もそれに見合ったプロットではあるが、それなりに途中の起伏はあるし、一方で最後まで読み通すと、この内容でよくも200ページ以上も稼いだものだ、さすが(?)アルレーと、妙な感心をしたくなるような内容。脚本と演出がしっかりしていれば、けっこう出来のいい翻案2時間ドラマが作れそうな感触である。

 終盤がどういうベクトルで収束するかは確かに大方読めるが、そこまでの細かい道筋のなかにはちょっと意表を突かれたものもあるし、要は佳作~秀作の初期アルレーで、フランスミステリ。時間はないけれど、何か一冊短めの作品を読んで寝たい晩などには重宝するタイプの作品であった。

No.1 5点 蟷螂の斧
(2013/02/24 20:26登録)
裏表紙より「破産寸前の夫、その若く美しい妻、彼女に恋する中年の資産家とオールドミスの姉、この四人の男女の頭の中には、それぞれ思惑がひそみ、それが運命の糸のようにからみあって、破局へと突き進んで行く……。目には目を、歯には歯を、復讐を許すタリオンの掟が……。」四人の独白で物語が展開してゆきます。完全犯罪をもくろむ若い妻の悪女ぶり、けして計画的ではないところが不気味な雰囲気を醸し出しています。結末はすぐ予想できますが、まずまず楽しめました。

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