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ミステリの祭典

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目には目を

作家 カトリーヌ・アルレー
出版日1961年01月
平均点5.50点
書評数2人

No.2 6点 人並由真
(2022/05/17 14:46登録)
(ネタバレなし)
 なめし皮工場の経営者で35歳のジャン・ド・フェルラック。美貌の26歳の妻アガットとともに浪費家のジャンは、事業が不順で破産しかかっていた。ジャンは、愚直だが誠実な仕事ぶりで業界に顔の広い45歳の同業者の友人マルセル・ブランカールと、その姉でオールドミスの女医マルトを家に招待し、業務上の便宜を図ってもらおうと考える。だがいまだ独身で女性に免疫のないマルセルの心に、若くて美しい人妻アガットへのひそかな劣情が芽生えた。そんな彼らのなかで、ひとつの殺意が頭をもたげる。

 1960年のフランス作品。アルレーの第四長編(創元文庫巻末の厚木淳の解説では第三長編とあるが、たぶん『死の匂い』をカウントしてない)。
 本文220ページちょっと、主要人物が4人という短めの作品。お話の方もそれに見合ったプロットではあるが、それなりに途中の起伏はあるし、一方で最後まで読み通すと、この内容でよくも200ページ以上も稼いだものだ、さすが(?)アルレーと、妙な感心をしたくなるような内容。脚本と演出がしっかりしていれば、けっこう出来のいい翻案2時間ドラマが作れそうな感触である。

 終盤がどういうベクトルで収束するかは確かに大方読めるが、そこまでの細かい道筋のなかにはちょっと意表を突かれたものもあるし、要は佳作~秀作の初期アルレーで、フランスミステリ。時間はないけれど、何か一冊短めの作品を読んで寝たい晩などには重宝するタイプの作品であった。

No.1 5点 蟷螂の斧
(2013/02/24 20:26登録)
裏表紙より「破産寸前の夫、その若く美しい妻、彼女に恋する中年の資産家とオールドミスの姉、この四人の男女の頭の中には、それぞれ思惑がひそみ、それが運命の糸のようにからみあって、破局へと突き進んで行く……。目には目を、歯には歯を、復讐を許すタリオンの掟が……。」四人の独白で物語が展開してゆきます。完全犯罪をもくろむ若い妻の悪女ぶり、けして計画的ではないところが不気味な雰囲気を醸し出しています。結末はすぐ予想できますが、まずまず楽しめました。

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