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ミステリの祭典

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悪夢の優勝カップ
プロゴルファー リーの事件スコア

作家 アーロン&シャーロット・エルキンズ
出版日2012年01月
平均点6.50点
書評数2人

No.2 6点 nukkam
(2015/12/27 05:45登録)
(ネタバレなしです) 1995年発表のリー・オフステッドシリーズ第2作です。前作と比べるとミステリーとしての面白さは格段に向上しており、凄いトリックではないものの雷による感電死のような殺人という謎が非常に珍しいです。リーの探偵ぶりも進歩しており、警察をリードして謎解きしているわけではありませんがとっさの閃きで犯人を指摘する場面は鮮やかな印象を残します。ゴルフ場面やロマンス場面もほどほどに楽しめました。この「ほどほどに」というのが個人的には重要でして、ミステリーを押しのけてはいないのがいいですね。

No.1 7点 Tetchy
(2012/02/26 16:13登録)
今回の事件は憎まれ、殺したいと周囲に思われた人物が落雷に遭って事故死するが、実はそれは巧妙に仕組まれた殺人だったという物。
そして第2の殺人として衆人環視の下で毒殺が行われる。いずれも本格ミステリ的不可能趣味に溢れている謎なのだが、このシリーズの特色はそこにはない。

アーロン・エルキンズ作品の特徴である、特定の人物で形成されるコミュニティの中で嫌われ者である人物が事故に見せかけて殺される、もしくは明らかに何者かによって殺される状況が生まれ、関係者の誰もが一応の動機を持っている手法が本書でも採られている。そして忘れてならないエルキンズの長所が魅力あるキャラクター。今回も前作から引き続いて登場のペグを筆頭にコットンウッド・クリーク・ゴルフコース理事の面々の個性的なこと。相変わらず実に読んでいて心地よいコージー・ミステリだ。

そんなミステリだからトリック云々を議論するよりもコミュニティの中で誰が一番動機を持ち、また機会があったかについてリーとグレアムの議論は費やされる。ここら辺は堅苦しいロジックのやり取りではなく、まさに好奇心旺盛なカップルが事件についてあれやこれや話し合うといったようなトークの趣があり、和やかだ。
特に第2の殺人については不特定多数の人がいる中でどうやって被害者だけに毒を飲ますことができたか?などということは一切語られず、誰が被害者を殺す動機があったかについてしか語られない。これがエルキンズの作風なのだと初めて本書を手にした本格ミステリファンは理解しなければならないことをここでは述べておこう。

エルキンズのスケルトン探偵ギデオン・オリヴァー物の最新作を読みたいのが本音ではあるが、しばらくはこの夫妻の手によるこのシリーズでその渇きを癒すことにしよう。

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