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ミステリの祭典

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ハードラック

作家 薬丸岳
出版日2011年09月
平均点6.33点
書評数3人

No.3 6点 猫サーカス
(2018/02/01 18:59登録)
いわゆるネットカフェ難民だった若者が主人公の犯罪サスペンス。いったん社会からはじかれ転落すれば、這い上がるのが困難となる現実をはじめ、ネットを通じた匿名のつながり、どこか安易な犯行など、ここに描かれているのは、極めて現代的な犯罪の形なのかもしれない。主人公は信じた相手から裏切られるなど不運に見舞われるばかりか、殺人犯に仕立てられてしまう。スリリングな導入部が身に迫り、彼の運命の行方を追わずにはおれない。意外性に富んだ話運びの巧みさで、最後まで一気に読ませる。

No.2 7点 じゃすう
(2012/02/23 22:38登録)
今回は単純に社会性のあるテーマよりも、よりエンタテイメント性を重視した作品のような印象を受けました。
もちろんそれが作品としてマイナスというわけではありません。新境地というのは確かにそうでしょう。
話の吸引力は、これまでの作品に比べてもよくなっている印象ですし、真相へのミスリードも上手くなっているように感じました。
しかし社会性<エンタテイメント性 と評したように、やはり動機や、そういった行動を取らざるを得なくなったやり切れなさという面への言及や心象描写が、これまでの作品と比して弱いのではないかと感じてしまうのは否めません。
とても面白く読めたのは確かですが。

No.1 6点 虫暮部
(2012/02/23 06:40登録)
 社会的テーマとミステリ的意外性を結び付ける手捌きが悪くはないが、しかし気になる部分もある。
 ネタバレ承知で書くが、
 1.「バーボン」「テキーラ」更には「ラム」も「サカイ」の関係であるなら、わざわざ仁の求人に応募して主導権をのっとるというまわりくどいことはせず、自ら求人すれば良い。仁が既に自分のプランを持っていた可能性もあった筈。
 2.「ラム」の「50万円取り分を多くして」という発言はメンバー間の不和や計画の破綻を招きかねないもので、「ラム」の立場を考えると不自然。
 3.真犯人が最後まで仁と行動を共にした理由があまりにとってつけたよう。メインの計画自体は概ね上手くいったわけで、さっさと逃げれば逃げ切れたように思うのだが。

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