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ミステリの祭典

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青チョークの男
アダムスベルグシリーズ

作家 フレッド・ヴァルガス
出版日2006年03月
平均点5.00点
書評数2人

No.2 5点 nukkam
(2016/09/06 19:10登録)
(ネタバレなしです) フランスのフレッド・ヴァルガス(1957年生まれ)は本国では大変人気の高い女性作家です(フレッドは男性名であることも多いので非常に紛らわしいです)。本書は1991年発表のアダムスベルグ署長シリーズ第1作の本格派推理小説です(長編ミステリー第2作のようです)。登場人物もエキセントリック、会話もエキセントリック、これが延々と続くので何度も頭の中が混乱してしまいましたが最後は本格派の謎解きとしてびしっと引き締めています。読み終えるのに苦労しますが横溝正史のフランス版みたいな結末は強く印象に残ります。

No.1 5点 E-BANKER
(2012/08/19 13:21登録)
1996年発表。パリの警察署長・アダムズベルクが活躍するシリーズ第1弾。
作者は現代フランス・ミステリー界の女王的存在とのことですが・・・

~パリで続く奇妙な出来事。夜のうちに歩道に青いチョークで大きな円が描かれ、朝人が見つけるとき、その中には何かが置かれている。クリップ、羊肉の骨、オレンジ、人形の頭、本、蝋燭・・・およそガラクタばかりだ。そして『ヴィクトール、悪魔の道、夜の道』という文字が必ず。誰がこんなことを? 人畜無害なイタズラと思われていたが、ある朝様相が一変する。円の中には喉を切られた女性の死体があったのだ。そしてまた一つ、また一つ、死体を囲む青い円。奇怪な事件となった青い円の謎に五区警察の署長アダムスベルクが挑む~

何だか奇妙な雰囲気のミステリー。
とでも言うべきなのか? 提示される謎自体は紹介文のとおりでなかなか魅力的なものに見える。
普通に考えると、「ミッシングリンク」的なテーマかと予想して読んでいたわけなのだが、そういうわけでもなかった。
なにしろ、いつの間にか容疑者候補が絞られ、途中で動機らしきものまで判明してしまう。
一応、ラストにドンデン返しも用意されてはいるのだが、これは無理やりではないか?
簡単に真犯人が「○○した」と書いてるが、その人物を実際にアダムスベルクを始めとする警察関係者も目の前で見ているわけで、そんなことに気付かなかったのか? という思いにならざるを得ない。

そもそも、作者の「狙い」が判然としないんだよなぁ・・・
巻末の訳者解説で触れられているが、作者の人物描写のうまさというのは確かにあると思うし、本作の登場人物についてもその片鱗が窺える。
ただ、「謎解き重視」の作品にしてはロジックが弱いし、リアリティ重視の警察小説的作品としては途中あまりにも端折り過ぎだろという気がしてならない。
要は中途半端ということかな。
好みの問題かもしれないが、個人的には高い評価はできない。

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