論理は右手に 三聖人シリーズ |
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作家 | フレッド・ヴァルガス |
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出版日 | 2008年04月 |
平均点 | 6.00点 |
書評数 | 2人 |
No.2 | 6点 | 空 | |
(2022/09/24 09:52登録) nukkamさんのおっしゃるとおり、第3章まで(というより、犯人の独白である第2章以外の2章)はとっつきにくいです。事件の発端になる骨の件を除くと、ほとんど何が何だか。その第3章に、訳者あとがきにも解説されている、邦題の元になった「支配と方法と論理は右手に存在する。」という文も出てきます。右手のほうに少し進みすぎると「冷酷な愚か者」になってしまうという警告です。 この警告を発するのが、本作の主役、元内務省調査員ルイ・ケルヴェレール。ペットのヒキガエルをいつもポケットに入れて持ち歩いている(そんなことして死なないか?)変わり者です。三聖人のうちマルコは最初から彼を手助けしますし、マタイも途中から加わりますが、これじゃ二聖人です。 アリバイトリックなどフェアプレイが守られているとは言えませんが、それでもエキセントリックなパズラーとしか言いようがない作品です。 |
No.1 | 6点 | nukkam | |
(2016/06/02 17:13登録) (ネタバレなしです) 木の根元の格子蓋の上の白っぽいものに興味を惹かれたルイ・ケルヴェールはそれが人間の骨だと推測し、歴史学者マルク・ヴァンドスレールの助けを借りて骨の主を探すというプロットの1996年発表の三聖人シリーズ第2作の本格派推理小説です。三聖人ことマルク、マティアス、リュシアンにしろマルクの伯父アルマンにしろ脇役扱いで、特にリュシアンとアルマンは実質出番がありません。まだシリーズ2作目にして配役バランスが崩壊しています。でも本書のルイも主役にふさわしい個性を発揮しています。最初の3章あたりまではとっつきにくかったものの、それ以降はすらすらと読めました。緊迫感に満ちた終盤の謎解きが印象的です。余談ですが最初にルイが訪れた警察署には「青チョークの男」(1996年)のアダムスベルグがいたんですね。でも残念、彼は異動してしまったようです(本書で警視と表記されているのは署長でなくなったから?)。いつかは三聖人とアダムスベルグが共同捜査(または探偵対決)する日が来るのでしょうか? |