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ミステリの祭典

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名探偵群像

作家 シオドー・マシスン
出版日1961年06月
平均点5.67点
書評数3人

No.3 5点 nukkam
(2016/08/11 10:20登録)
(ネタバレなしです) 詳細はエラリー・クイーンが本書の序文で紹介していますが1958年から1960年にかけて米国のシオドー・マシスン(1913-1995)がEQMM誌に投稿した作品を10編収録して1961年に出版された歴史本格派推理小説の短編集です。アレクサンダー大王、レオナルド・ダ・ヴィンチ、クック艦長、ナイチンゲールなど歴史上の人物を名探偵として謎解きさせるアイデアは当時としては斬新だったと思います。推理の根拠が薄弱で謎解きとしては弱いのですが時代背景がしっかりと描かれているのは長所です。特殊な毒を前提条件にしているのが難点ではあるけれどトリックが珍しい「名探偵アレクサンダー大王」と画家の才能と探偵活動を無理なく結びつけた「名探偵レオナルド・ダ・ヴィンチ」が個人的なお気に入りです。

No.2 6点 mini
(2013/09/06 09:56登録)
今年6月にリチャード・マシスンが亡くなったが、マシスンと言うともう1人居る
1913年生まれ、私的読書テーマ”今年が生誕100周年作家を漁る”、第4弾はシオドー・マシスンだ

シオドー・マシスンの代表作である短編集「名探偵群像」の各短編が発表されたのはEQMMで、クイーンが熱意溢れる序文を書いている
時代ミステリー自体は全く珍しいものではないが、短編で、それも短編毎に時代設定を変えるというのはなかなか珍しい
しかも時代だけではなく国籍もバラバラで、歴史ミステリーと言うよりむしろ”地理ミステリー”とでも表現したくなる
この時代・地域の書き分けが見事で、クイーンの熱の入れようも肯ける
惜しむらくは謎解き的にややワンパターンなのと、探偵役の歴史上の人物が依頼されて事件解明に乗りだすパターンが半分位を占めている点だ
依頼されて調査に首を突っ込むというのでは、ホームズパターンとあまり変わらなくなってしまう
この魅力的な基本設定を活かすなら、大部分を探偵役が事件に巻き込まれて止むを得ず探偵活動に乗り出すというパターンにして欲しかったかなとは思った

ちなみに全部が歴史上超有名かというと、何でこの人物を選んだのか?という名前も含まれている
「ドン・キホーテ」の作者セルバンテスあたりはまぁメジャーだろうが
ウマル・ハイヤームは11~12世紀セルデューク朝ペルシアの天文学者
エルナンド・コルテスはメキシコのアステカ文明を滅ぼしたスペイン人の新大陸征服者としてある意味悪名高い人物
デフォーの名は知らなくても「ロビンソン・クルーソー」は有名だろう、私はデフォーが探偵役の話が集中では出来が良いと思った
ダニエル・ブーンは日本人には馴染みの無い名前だろうが、アメリカ西部開拓時代の冒険家として知らなかったらアメリカ人とは言えないような存在
やはり作者がアメリカ人だなぁという選択を感じる

No.1 6点 kanamori
(2011/12/28 23:24登録)
歴史上の有名人物を探偵役に据えた連作ミステリ。おなじみの”親愛なる読者諸氏---”で始まるエラリー・クイーンの序文がかなり熱いです。

収録10編の中で印象に残ったのは、まず最初の「名探偵アレキサンダー大王」。毒殺トリック自体は分かり易いけれど、この意外な犯人像の設定には初っ端から「おおっ」と思った。
看護婦たちを引率してクリミアに向かう行程中の殺人を扱った「名探偵フローレンス・ナイチンゲール」もミスディレクションが巧妙な傑作。ナイチンゲールの性格付けが魅力的でこれは長編で読んでみたい気がした。
その他、”エンデヴァー号”船上の殺人に挑むクック艦長、”見えない人”ネタのレオナルド・ダ・ヴィンチ、アフリカのジャングルでのコンビ探偵・スタンレーとリヴィングストン博士なども面白い。
ミステリとしては手掛かりの”気付き”に重点が置かれたものが多い。なかには不出来なものもありますが、各話それぞれの時代背景や雰囲気はしっかり書けているので、歴史モノ好きには満足いく内容だと思います。

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