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ミステリの祭典

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破壊者

作家 ミネット・ウォルターズ
出版日2011年12月
平均点5.00点
書評数2人

No.2 4点 nukkam
(2016/04/17 22:34登録)
(ネタバレなしです) 1998年発表の長編第6作です。創元推理文庫版の巻末解説ではウォルターズ作品の中では伝統的な謎解き小説の要素が強いと評価していますが、あまりそれを感じることができませんでした。kanamoriさんのご講評の通り、読者が犯人当てに挑戦するようなタイプではありません。もともとこの作者は意図的に不快なものを読者に突きつける傾向がありますが、特に本書では文章表現が猥褻だったり汚かったりする度合いが過剰気味で、とても「伝統的」とは言えないと思います。むしろ非情なハードボイルド小説が好きな読者の方が本書を受け入れやすいと思います。

No.1 6点 kanamori
(2012/02/09 18:50登録)
ウォルターズ8作目の邦訳作品。発端は陰惨な溺死体の発見ですが、いつもほどの重苦しい雰囲気はなくて、分量はあっても文章が平明なので比較的スムーズに読めた。

いつもの多視点ではあるものの、主に捜査陣側の視点で語られていて、鑑識の報告書や関係者の証言内容がそのまま列記された章もあり警察小説の趣がある。ドーセット州警察とは別方向から事件にかかわる地元巡査ニック・イングラムが魅力のある人物で、その不器用なロマンスも物語のアクセントとなっていて良。
容疑者は早々に被害者の夫と、愛人の売れない俳優の二人に絞られているが、捜査が進む毎にその一人の人物造形が揺らいで正体がつかみきれない所が面白い。
ただ、「〇〇(真犯人)のような人間のすることは、理屈では理解できないんだよ」という終盤のニックの台詞に象徴されるように、読者が論理的に謎解きに挑むタイプのミステリではないです。

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