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ミステリの祭典

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定吉七は丁稚の番号
定吉七番

作家 東郷隆
出版日1985年04月
平均点5.50点
書評数2人

No.2 6点 クリスティ再読
(2022/06/20 14:20登録)
先日「黒の試走車」を書評したわけだが、本作も大阪商工会議所秘密情報部の活躍を描いた企業スパイ小説だ...なんてのは冗談。たまにはバカな作品が読みたくて、本作。

いや実際、007パロディとしては、なかなかイイところをツいている。

三週間後のロンドン。三月はガラガラ蛇のような嫌な天気でやってきた。

三週間後の大阪。十一月は養殖鰻のようなぬめぬめとした嫌な天気でやってきた。

要するに、007の小説としてのキモというのは、フレミングが書く気取ってスノッブな文体にある、というのがなかなか、分かっているのである。大阪ネタのお笑いだけ、というわけでもないのだ。この本は「ドクター・不好」「オクトパシー・タコ焼娘」の2本の中編だけども、とくに「ドクター・不好」の最初から2章は、「ドクター・ノオ」の逐語的なパロディになっている個所が多くて、それがいい。ぜひぜひ「ドクター・ノオ」と比較対照しながら読まれることをお勧めする。

007パロディというと「アリゲーター」がパロディをしようとして、結局パステーシュになってしまう体たらくで、本当に難しいものなんだけども、やはりこのフレミングの「スノッブっぷり」は揶揄するよりも真面目にコピーする方のが、ずっと笑えるものなのである。

まあとはいえジャマイカならぬ江ノ島に定吉が赴くあたりから、この逐語的パロディに作者も疲れたようで、プロットのパロディになってしまって、そこらへんが残念。まあ、逐語的パロディって書く方は大変だからね。プロットも原作からは離れて、野生児のハニーは登場せず、殺人伊勢海老飼育係の奈緒美が寝返ってヒロイン(?)不好も鳥の糞に埋もれて死ぬのではなくて、釜茹での釜に落ちて死ぬ(これは映画っぽい)。

でもう一本の「オクトパシー・タコ焼娘」は、単にタイトルからの連想で「オクトパス→たこ焼き」になっただけ。話の内容はほとんど原作の「オクトパシー」には関わらない。だって007短編でも特に地味な作品だしね。なぜかタイガー・ジェット・シンのネタ。

No.1 5点 kanamori
(2011/11/23 17:53登録)
殺人許可書をもつ丁稚、なにわの秘密諜報部員・定吉七シリーズの第1作。
タイトルは言うまでもなく007シリーズ映画化第1弾「007は殺しの番号」(原題「ドクター・ノオ」)のモジリで、本書の第1話「ドクター・不好」は、舞台をジャマイカから湘南に変えたスパイ・アクションもののパロディになってます。元ネタの見せ場の一つである人喰い蟹襲来のシーンが、カニ道楽の看板になっているのが笑える。
007のパロディをやりながら当時の世相を風刺しているのですが、そっちはさすがに今読むとピンとこない。

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