home

ミステリの祭典

login
死仮面
金田一耕助シリーズ/角川版は本文の一部が中島河太郎の補筆

作家 横溝正史
出版日1982年01月
平均点4.50点
書評数2人

No.2 4点 虫暮部
(2020/04/02 11:51登録)
 冒頭の“告白書”は迫力がある。しかしそれ以外は色々苦しいし、それを帳消しに出来るような雰囲気や言葉の力も足りない。
 併録の「上海氏の蒐集品」は奇妙な味の因縁話、に成り損なったような短編。物語としての出来とは別に、ちょっといい何かは感じられた。

No.1 5点 nukkam
(2011/10/24 17:30登録)
(ネタバレなしです) 作者絶頂期の1949年に書かれた金田一耕助シリーズ第4作ながら、地方誌に連載されたこともあって完全な原稿が見つからず長らく幻の作品扱いされていたそうです(単行本化されたのは作者の死後となりました)。しかも原稿を全部集約するのに難儀した結果、角川文庫版は一部を評論家の中島河太郎(1917-1999)が補筆しての出版で、後発の春陽文庫版が完全オリジナル版だそうです(私はこちらを読みました)。本書の後には「犬神家の一族」(1950年)や「八つ墓村」(1951年)が続くので本書に期待した読者も多かったのではと思いますが、残念ながらあれほどのスケール感はありません(長編としてはページ数が少ないという制限があるので仕方ないところもありますけど)。前半は複雑な人間関係が重厚かつ地味に描かれています。事件性がはっきりしないこともあって盛り上がりに欠けています。ところが後半になると学園を舞台にした冒険スリラー風に様相が変わってびっくり。推理には不満もありますが、ミスディレクションが効果的な謎解きでした。

2レコード表示中です 書評