ハネムーンの死体 |
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作家 | リチャード・シャタック |
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出版日 | 1998年05月 |
平均点 | 5.00点 |
書評数 | 3人 |
No.3 | 6点 | nukkam | |
(2016/10/01 01:03登録) (ネタバレなしです) リチャード・シャタック(1905-1986)は本名をドラ・シャタックという米国の女性作家です。当時は作家の世界も女性というだけで不利であることが多かったので男性名のペンネームを使っていたようです。こういう例はミステリーの世界ではアントニイ・ギルバートやロジャー・スカーレットがいますね。1940年に発表されたミステリー第1作である本書の創元推理文庫版でクレイグ・ライスを彷彿させるユーモア・ミステリーの書き手として紹介されていますが、ライスの作品が笑いの場面だけでなく涙を誘う場面やシリアスな場面も取り入れているのに対してシャタックの作風は徹底して笑いを誘っている点が違います。そのため能天気な雰囲気が作品全体を覆っています。一応は本格派推理小説に分類できる作品で謎を解く伏線も張ってありますが謎解きよりもどたばた劇を楽しむべき作品だと思います。内容が軽すぎて読み終わった後に何も残りませんが(私の記憶力の問題でもあります)、こういう作風ならそれも一概に弱点とは言えないような気がします。 |
No.2 | 4点 | mini | |
(2011/10/21 10:01登録) 近日25日発売予定の早川ミステリマガジン12月号の特集は、”ユーモア・ミステリ遊歩" 便乗企画として私的に遊歩してみるか、第1弾はリチャード・シャタックだ 1940年代にデビューした戦後アメリカ女流ユーモアミステリー作家を3人挙げろと言われたら、クレイグ・ライス、マーガレット・シャーフ、そしてリチャード・シャタックだな もう1人フィービ・アトウッド・テイラーという大物作家も居るが、テイラーは戦前1930年代デビューなので黄金時代作家のイメージが強く、やはり戦後作家という括りにはテイラーは入らないだろう リチャード・シャタックは男性名だが実体は女性作家だ ライスにも出版社との契約上の問題なのかマイケル・ヴェニングという男性名義があるのだが、内容的にもライスと似た面が多く、シャタックはさながら同時期のもう1人のライスだ ただドタバタ調ユーモアという作風では似ているものの、人物造形に深味が無く、いや深味と言うより陰影に乏しいと言う方が近いか、その為ライス独特の哀愁に欠けている ライスの場合はユーモアと裏腹なペーソスがスパイスのように作品の味を引き締めているのだが、kanamoriさんも御指摘の通りシャタックは能天気に終始ドタバタ一辺倒なので心に残らない あと文章も不満、難しい語句は何一つ使ってないんだけど、文章が一連の流れになっておらず、すんなりと頭の中に入っていかないので平易な文の割りに読み難かった、おそらくは原文もあんな感じなんだろう やはりライスに比べると一枚落ちる印象だなぁ ところで解説が森英俊なのは初めて気付いた、森氏は好意的に評価しているけどね シャタックは僅か5年くらいの活動期間にたった4作しか残さなかったが、最後の第4作目を出してくれないかなぁ それと全4作しかないシャタックなのに半分の2作が翻訳されているのだが、作品数ではずっと多いのに3大戦後アメリカ女流ユーモアミステリー作家で未訳で残ったもう1人、マーガレット・シャーフをどの出版社が手を出すかだな P・A・テイラーだって論創社から刊行予定が立ったことだし、各出版社頼みますよマーガレット・シャーフ |
No.1 | 5点 | kanamori | |
(2011/10/20 18:50登録) 結婚式を挙げたホテルの部屋で発見された死体を巡って、新婚カップルと友人たちがテンヤワンヤの騒動を繰り広げるドタバタ・ミステリ。いちおう謎解き本格ミステリの要素があるのですが、やはり死体移動のトラブルを笑って楽しむのがメインになってしまいます。 作者と同年代に人気を博した同じく米国女流作家であるクレイグ・ライスを想起させる作風ですが、ライスと比べると主人公たちにそれほど印象に残る個性は無く、ドタバタ劇が中心なので、すぐに内容を忘れてしまいそう。 |