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ミステリの祭典

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味なしクッキー

作家 岸田るり子
出版日2011年10月
平均点6.00点
書評数3人

No.3 7点 ミステリーオタク
(2023/05/20 02:48登録)
「男女物」を中心とした6話からなる短編集。

《パリの壁》
 バリの高級アパルトマンの一室での男と女のせめぎ合い、暴き合いミステリ。そしてエンディングは・・・

《決して忘れられない夜》
 京都の高級住宅内での男と女の、ある意味バトル。しかしこの「仕打ち」はあまりにも・・・

《愚かな決断》
 怜悧な研究者が犯人の倒叙物だが、時々いるよね、こういうバ○な「優秀な学者」。しかしコイツは○カ過ぎる。

《父親はだれ?》
 マンマなタイトルで超常現象も出てくるが、十分ミステリとして読めると思う。また途中で「読めた」。が・・・
流石理学部出身の作家だけあって、前作に続いて医科系研究室内での作業描写は非常に精緻だが「心細胞」という細胞は存在しないと思う。

《生命の電話》
 これもよくできたミステリだと思った。が・・・
しかし、読後感、望んだ結末は読者によって大きく分かれることだろう。

《味なしクッキー》
 プロローグの人間消失は一体如何に?・・・と思ったらソッチか。
 まぁ~半端ないジメジメストーリーだが、第5話までかなり楽しめた自分は、最終話にして表題作の本作の「仕掛け」に半端なく期待しながら読み進めたが・・・これは想定内だったかな・・・


 個人的には粒揃いの短編集と言ってもいいのではないかと感じたが上述の通り、表題作が(ヒューマンドラマとしては濃厚すぎるが)ミステリとしては一番平凡に近い印象だった。


No.2 5点 まさむね
(2013/02/18 23:05登録)
 6編から成る短編集。濃淡ありますが,ブラックな読後感を味わえます。
 読み応えという点では,プロットの妙が光る「味なしクッキー」と,連続反転の「パリの壁」がトップ2でしょうか。「愚かな決断」の一捻りと「生命の電話」の着目点もなかなか面白いです。
 一方,「決して忘れられない夜」と「父親はだれ?」の両作品は,ブラック度は別にして,ネタとしては分かりやす過ぎるかな?「ああ,やっぱり」っていう感想に集約されましたね。特に後者は,冒頭シーン(マウスの実験)がなかなかだっただけに,ちょっとだけ残念。

No.1 6点 kanamori
(2011/11/19 10:59登録)
タイトルは”味なし”ですが、収録作品はいずれも毒入りでブラックな味わいの短編集。
パリに住む男を訪れた女の目論みとは?男女の立ち位置が二転三転する「パリの壁」、冒頭の不可思議な謎とラストの構図の反転によるサプライズの表題作「味なしクッキー」。この2作はともに連城ミステリを思わせるプロットでなかなかの佳作。間違い電話を利用したアリバイ・トリックもの2作「愚かな決断」と「生命の電話」は、アイデアはいいがミステリの出来としては普通かな。
「決して忘れられない夜」を筆頭に、収録6編に共通するテーマは、”オンナの怖さ”と”オトコの愚かさ”ですかね。

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