幻奇島 |
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作家 | 西村京太郎 |
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出版日 | 1982年02月 |
平均点 | 6.00点 |
書評数 | 2人 |
No.2 | 8点 | 人並由真 | |
(2024/04/23 04:55登録) (ネタバレなし) その年の初夏の東京(たぶん)。「わたし」こと34歳の大手総合病院の内科医・西崎は、六本木のバーで友人と飲んだ帰りに運転し、若い女性をはねてしまう。病院に駆け込んで女性は一命をとりとめたが、西崎は警察の聴取を受けるなか、飲酒運転の事実はごまかそうとした。だが負傷した女性は素性不明のまま、西崎の車を盗んで姿を消す。その行方は杳として知れなかった。飲酒運転の件での逮捕こそ免れたものの、恩師かつ院長から疎んじられた西崎は、南海の石垣島からさらに離れた孤島「御神(おがん)島」で二年間、地元の診察医を務めるように命じられた。やむなく指示に従う西崎だが、そこで彼を待っていたのは殺人劇と、そして思いもよらぬ体験だった。 元版は1975年5月の毎日新聞社の書籍(ただし現在、Amazonに書誌データなし)。 評者は今回、ブックオフの100円棚で見つけた徳間文庫の新装版で読了(解説もなく、本文が終わるとそのまま奥付という仕様)。 本サイトで先のお方が、だいぶ前に4点とかなり低めの採点をしてるので、こちらもややお気楽な気分で期待せずに読み出したら、意外にも結構、面白かった。 あわててTwitter(現Ⅹ)で本作の感想を探ると、マイナーだけどこれは面白い、出来のいい西村作品という声ばっかしで、なんだ隠れた秀作だったんじゃないか、と姿勢を正す。 一人称主人公・西崎が出会った謎のヒロインもはかなげで幻惑的だが、それ以上に物語の本筋の舞台となる御神島のロケーションが、独特の因習やら妖しい雰囲気やらでとても際立っている。他の作家でいちばん誰に近いかといえば、マッハの速さで三津田信三の名をあげるだろう。それくらい、西村作品としてはかなりとんがっている。 和製フランスミステリ風に展開してゆく作劇のハラハラ具合も、初期の連城長編か、そのフランスミステリ系にずぶずぶはまっていく時期の泡坂作品、という感じ。 フーダニットパズラーの興味にはまともな推理小説としては応えていないものの、一応の伏線はいくつか張ってあるし、その上での意外性がなかなか。 いやもしも幻影城ノベルスで出されていたら、非常によく似合っていたんじゃないかな、この作品(いろんな意味で、絶対にありえんけど)。 余韻のあるクロージングもいい。カミサマ(名探偵)不在のノンシリーズ作品だからこそ語れた、そんな味わいが最高。 やっぱ初期の西村京太郎、かなり面白いものが埋もれているねえ。今後の良作との出会いを、楽しみにしよう。 教訓:作品の現物は、自分の目で最後まで読んで確かめなきゃダメ。 (もちろん、以前の方のレビューを拝見し、参考にするのはまた別の次元の話ですが。) つまり、このレビューを読んで本書を期待して読んで、その上で「……」もアリ、ということでもありますが(笑)。 |
No.1 | 4点 | モグ風 | |
(2011/08/20 04:44登録) インクローズドサークルものが好きなので読みました。 題名からもわかるとは思いますが孤島ものということで ベタな設定ではありますが、個人的には期待していました。 これは余りおすすめできません。 孤島ものミステリーが余程好きな方(またはそういった設定に惹かれる方)なら読んでもいいかも。 |