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ミステリの祭典

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白尾ウサギは死んだ
ヴァージル・ティッブス刑事

作家 ジョン・ボール
出版日1967年01月
平均点6.00点
書評数2人

No.2 6点 nukkam
(2015/11/30 00:03登録)
(ネタバレなしです) 1966年発表のヴァージル・ティッブスシリーズ第2作です。全員がヌーディストという何とも個性的な一家が登場しますが裸体の直接描写はほとんどなく、人間性の魅力の描写が際立っています。決して官能路線作品ではないのでそちらを期待する読者は他をあたって下さい(笑)。魅力では主役のティッブスも同様で、両者とも社会の中では差別的待遇を受けやすいのですが対立も逃避もせずに上手に世間と向き合っています。それが理想的に過ぎると感じる読者もいるでしょうけど読んでて不快感を覚えさせない手腕を私は高く評価したいです。本格派推理小説としては傑作の「夜の熱気の中で」(1965年)と比べると推理の切れ味がやや鈍っていますが水準は十分クリアしていると思います。

No.1 6点 kanamori
(2011/09/18 23:55登録)
カリフォルニア州・パサディナ警察の”黒いホームズ”こと、黒人刑事ヴァージル・ティッブスを探偵役に据えたシリーズの2作目。
映画(タイトル「夜の大捜査線」)と原作ともにヒットしたデビュー作「夜の熱気の中で」のみ取り上げられることの多いジョン・ボールですが、本書も警察小説とフーダニット・ミステリの魅力を兼ね備えた佳作だと思います。ただ、終盤の関係者を集めたティッブス刑事の謎ときには、伏線の妙味はあるものの後出しデータもあり、フェアプレイに対する厳密さは感じられませんでした。
やはりこのシリーズの作者の意図する読みどころは、偏見と蔑視に耐えながら聡明さと人間的魅力で事件に挑む主人公の造形にあるのでしょう。

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