スコッチに涙を託して 探偵パトリック&アンジーシリーズ |
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作家 | デニス・ルヘイン |
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出版日 | 1999年05月 |
平均点 | 6.00点 |
書評数 | 2人 |
No.2 | 6点 | frontsan | |
(2011/07/02 14:08登録) パトリック&アンジーシリーズの第一作。作品としては、いまひとつだが、これ以降面白くなるシリーズの人間関係を知っておくためには必要な一冊。 |
No.1 | 6点 | 臣 | |
(2011/06/21 13:32登録) 男女ペアの私立探偵・パトリック&アンジー・シリーズ第1作です。 「スコッチに涙を託して」というタイトルからは、男のハーレクインと呼ばれても仕方がないような内容を連想しますが、洒落た会話や仕草はあまりなく、男の美学のようなものは感じられませんでした。どちらかといえば老若男女に受けるハードボイルドというか、想像以上に俗っぽいというか。。。原題 “A drink before the war” のほうが合っているようです。 シリーズ第1作ということもあって、主人公の人物造形は十分すぎます。しつこいほどの軽口会話と、車をローンで買ったとか、筋に関係のない主人公の独白(パトリックの一人称の地の文)とがやたらと目立ちます。とはいえ、パトリックの生い立ちと、事件の背景とには共通点があって、デビュー作とは思われないような構成の巧さを感じられます。ただ主人公の身辺の話が多い分、メインの事件の描写が不十分かなという気がしました。 ストーリーはギャングの抗争、政界とギャングの癒着が物語の根幹をなし、激しい銃撃戦もあり、ごく普通のヤクザ物といった感じがしました。嗜好からは少しずれてはいましたが、後半には痛快な場面もけっこうあって、万人受けしそうなエンタテイメントに仕上がっているように思います。ただ、こういうのは映像のほうがもっと楽しめそうです。 結果的には明るく楽しめたのですが、「ミスティック・リバー」(映画)や「コーパスへの道」(犯罪モノ短編集)の暗い雰囲気が頭に焼き付いていたため、途中までは、陰鬱でメランコリックな印象しか持てず、それを拭い取ることがなかなかできませんでした。偏見、先入観を持った読書はいかんということですね。 |