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ミステリの祭典

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デッドライン

作家 建倉圭介
出版日2006年08月
平均点7.00点
書評数2人

No.2 7点 猫サーカス
(2020/12/20 12:14登録)
これまで第二次世界大戦秘話を扱った歴史冒険小説はいくつも書かれている。特にケン・フォレット「針の目」や佐々木譲「エトロフ発緊急電」など、期日までに使命を果たさねばならない、いわゆるタイムリミットサスペンス型の長編に傑作が少なくない。この作品もまた同様の趣向による、壮大なスケールの冒険活劇といえる。一九四五年、日系二世のミノル・タガワは、大学で巨大な計算装置の開発計画に加わることになった。だが、やがて原子爆弾の完成が間近で、日本へ投下されるということを知る。そんな時、ミノルにスパイ容疑が持ち上がったばかりか、殺人犯として追われる立場になってしまう。ミノルは逃亡先でエリイという女性とともに日本への密航を企てる...。戦時下ゆえ、ありえない話かもしれないが、二人に迫る機器が臨場感たっぷりに描写され、生死すれすれの状態による道中が随所で展開されているため、フィクションであることを忘れて、ページを捲らずにいられなくなる。本作は、日系移民をはじめ理不尽な立場に置かれた人々が登場するなど、戦争冒険活劇にとどまらない内容を持った作品に仕上がっている。

No.1 7点 kanamori
(2011/06/25 22:53登録)
タイトルが平凡であまり期待してなかったのですが、これは冒険小説の傑作でした。
米国の地で原爆投下情報を知った日系二世の主人公が、米軍の追撃を受けながら、降伏を促すべく日本へ決死の逃避行を決断する、というのがあらすじ。
同じタイムリミットものの冒険小説で、真珠湾攻撃情報をネタにした「エトロフ発緊急電」の日米裏返しのような設定ですが、本書の逃走ルートがすごい。アラスカからアリューシャン列島、千島樺太とつづく雄大な舞台設定で、サスペンス満点の逃避・追跡劇が圧巻の面白さだった。
本書のもうひとつのテーマは少数民族の差別や弾圧。日系二世の主人公を助けるのが、アメリカインディアン、イヌイット、アイヌなどのマイノリティというのがまたいい。

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