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ミステリの祭典

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ばんば憑き

作家 宮部みゆき
出版日2011年03月
平均点7.33点
書評数3人

No.3 7点 ALFA
(2022/03/08 08:05登録)
表題作を含め六編からなるホラー時代物短編集(角川文庫「お文の影」は同内容)。辛口で引き締まった「あやし」や構成美の「三島屋変調百物語」とは一味違うユルさがある。
登場人物、特に子供のキャラが立っていて楽しい。「あんじゅう」と同じキャラも登場するが話のつながりはないので読んでいなくても大丈夫。
お気に入りは第六話「野槌の墓」。よろず頼みごとを引き受ける無役の御家人が主人公。
七歳の娘からいきなり「父さまは、よく化ける猫はお嫌いですか」と問われて面食らう冒頭からして可笑しい。このオープニングは数多い宮部作品の中でもまさに絶品。女の姿で頼みごとを持ち込んだ「よく化ける猫」とのやり取りも妙に脱力していて笑えるし、その「お礼」も心に滲みる。
収まりのいいホラー人情噺。


No.2 8点 ボンボン
(2015/08/04 00:15登録)
全く趣の違う6話の江戸の「ホラー」短編集。
趣向は違っても、どの話にも子どもからせいぜい10代の若い人たちがポイントとなって登場する。それがせつなかったり、可愛かったり、健気だったり、愉快だったり。
「百鬼夜行抄」(今市子)もびっくりの妖怪や物の怪が思い切りよく出てくる話が多いが、一番怖いのが人間の心理劇だったりする。
どの話も何度も読み返したくなる味わいがある。

※「ばんば憑き」を改題した角川文庫の「お文の影」を読んだ。

No.1 7点 白い風
(2011/06/14 19:37登録)
「日暮らし」と「あんじゅう」のキャラが登場するらしいですね。
この2作はまだ読んでなかったのが、ちょっと残念だったかな?
でも、全く支障は無かったと思う(多分…)
怪奇物だったけど、大抵の話に子供がからみ、ちょっと涙を誘う話もあって楽しめました。
そう云った意味でも「お文の影」と「野槌の墓」がよかったかな。

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