| 花実のない森 |
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| 作家 | 松本清張 |
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| 出版日 | 1964年01月 |
| 平均点 | 3.33点 |
| 書評数 | 3人 |
| No.3 | 5点 | 人並由真 | |
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(2026/05/17 07:13登録) (ネタバレなし) たまには清張でも……と思い、古書市で300円で買った、元版のカッパ・ノベルス(昭和49年4月で106版……すげぇな)を手に取る。だが挿し絵(作画・堀文子)はあるものの、ほぼ全部、昔のポケミスの抽象画みたいであまり楽しくない。いっしょに買った別の清張の同じ叢書の方は、普通のペン画の挿し絵なんだが。 本サイトでは悪評プンプンなので、ほほう、と思いながら半ば怖いもの見たさで読みだした。なるほど主人公は感情移入なんかしにくいキャラクターだが、時たま作戦に利用した恋人に「心から感謝」したりする。人間臭いというより小物っぽいが。 主人公の追跡行のファナティックぶりは、なんかレンデルのニューロティック・サスペンス(サイコ)スリラーに一脈通じるところがある。たぶん清張はその辺は無自覚だったとは思うが(もしそうなら前述のような中途半端な人物造形はしないよね?)、作者自身が意識的にこの辺を最初から押していたら、もっと違った方向で結晶度が高まったのではないか。 それでもキーパーソンであるメインヒロインの秘密は? そもそも事件? の構造は? という意味ではそれなりの求心力を感じた。で、ラストは意外といえば意外ともいえる決着だが、冷静にアタマを冷やして考えるなら、いわゆる大山鳴動して鼠一匹というヤツかもしれない。 最後のエピローグもやや曖昧だね。こっちの思ってる通りでいいのかしらん。 それでも全体としてはソコソコ楽しめたかな。この点数で。 しかし主人公が歩き回れば、出会う人物人物がみんなベラベラよく喋って、情報をくれるのには笑った。うん、不適切な昭和のミステリ(笑)。 |
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| No.2 | 3点 | 蟷螂の斧 | |
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(2019/11/04 17:14登録) (再読)裏表紙より~『会社員の青年・梅木隆介はある夜、夫婦と名乗るヒッチハイクの男女を車に乗せた。高貴さをも漂わせる美女と粗野な中年男は、まるで不釣り合いなカップルだった。好奇心が燃え上がる梅木は、車に残された万葉の古歌が彫られたペンダントから女の正体を突き止めようとする。だがそれは、甘い死の香りが漂う追跡行だった。謎が謎を呼ぶロマンチック・サスペンスの傑作!』~ 今では単なるストーカーの話ですね。身元の分かるような小道具を、二人とも車の中に落としていたというのは、偶然過ぎて笑ってしまいます。そして謎の女性に、どうしてそんなに駆り立てられるのかが伝わってこないのが弱いところです。そしてその正体も、うーんどうなんでしょう・・・といったものです。残念。 |
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| No.1 | 2点 | 空 | |
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(2011/04/16 08:50登録) 今まで読んだ松本清張作品の中でも、最も安易な展開の作品でした。 「女性画報」に連載されたということなので、ロマンティック路線を狙ったのでしょうが、どうも主役の男の身勝手さばかりが気になります。いくら上品で美人であるにしても、本当に一目ぼれによる思い込みという感じにはあまりなりません。ウェイトレスをしている恋人を使って事件関係者を探らせるのも身勝手。この恋人はクイーンやクリスティーが好きだということですが、その設定も全く生かされないままです。 二人ともが落し物をする偶然。新聞の写真を目にする偶然。さらにその後簡単に、写真には写っていない二人目の事件関与人物にたどり着く経緯。謎の女があえてホテルで会食する意味の無さ。切符の切れ端の発見(なぜその切れ端が落ちていたのか全く不明)。最後の偶然の出会い。そういったご都合主義が連続する作品で、真相も平凡としか言いようがなく、端正な情景描写がむなしく感じられてしまいました。 |
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