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ミステリの祭典

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老人たちの生活と推理
海の上のカムデン

作家 コリン・ホルト・ソーヤー
出版日2000年07月
平均点6.00点
書評数3人

No.3 7点 nukkam
(2016/05/17 18:55登録)
(ネタバレなしです) 米国の女性作家コリン・ホルト・ソーヤーはカリフォルニアの高級老人ホーム「海の上のカムデン」を舞台にしたコージー派の本格派推理小説シリーズを8作発表しました(中には違う場所が舞台となる作品もありますが)。その第1作が1988年発表の本書です。シリーズ第1作として重要なだけでなく異色の部分もあります。辛辣なアンジェラと冷静(?)なキャレドニアの2人が主人公で、特にアンジェラのキャラクターは個性的で目を放せません。この2人がアマチュア探偵として活躍するのがシリーズの基本パターンですが、本書が異色なのはさらに2人の仲間を引きずり込んで探偵カルテットとして活動していることです。取り組み姿勢は人によってばらつきがあって足並みが乱れ気味なのはロナルド・A・ノックスの「陸橋殺人事件」(1925年)をちょっと連想させます。猛進型のアンジェラとそれに引きずりまわされる他の人たちという図式がユーモラスに描かれていて面白いです。謎解きもかなり力が入っておりその代わり「コージーっぽさを前面に押し出していない」とminiさんがご講評されているのもなるほどと思います。個人的には謎解きも充実している貴重なコージー派と評価しています。

No.2 5点 mini
(2013/12/20 09:55登録)
明日21日に創元文庫からコリン・ホルト・ソーヤー「年寄り工場の秘密」が刊行予定、御馴染みの”海の上のカムデン”シリーズ久々の翻訳である
この機会にシリーズ第1作目を読んでみた

これは何系と言ったらいいんだろう、コミュニティー系とでも言おうか、のコージー派
他のネット書評では一般的本格派に仕分けているサイトもあるみたいだが、何作かコージー派作品を読んだ私から見れば、キャラ設定や話の進め方などコージー派の分類で間違いないと思う、女流作家だし
一見すると男性名と誤解する人も居るんじゃないかと思うが、男性名のコリン、例えばデクスターのコリンは”Colin”なんだけど、ホルト・ソーヤーのは”Corinne”
多分だが発音上は”コリン”よりも”コリーン”に近いんじゃないかなぁ、その方が女性名っぽいしね

これも他のネット書評上でだが、どちらかと言えばコージー派に偏見が有って、ガチ本格派を愛でるタイプの読者に受けが良い印象で、普通の本格派として評価出来るみたいな評価もあった
たしかにあまりコージーっぽさを前面に押し出していないところがその手の読者に好感される理由なんだろうけど、それは逆に言えばコージー派らしい良さがスポイルされてるって事になる
私はコージー派はコージー派の観点で評価する主義なのだが、舞台設定が老人ホーム内に限定されるクローズドサークル的なのも私的好みに合わず、正直言ってコージー派の範囲内ではあまり面白いとは思わなかった

No.1 6点 kanamori
(2012/04/25 20:37登録)
高級老人ホーム”海の上のカムデン”を舞台にしたコージー系の本格ミステリ、シリーズの第1作。
老婦人の殺害死体が海につづく階段下で発見され、好奇心旺盛なアンジェラ率いる老人探偵団の4人は、マーティネス警部ら捜査陣への迷惑もかえりみず探偵活動に乗り出す、というあらすじです。

毒舌ぎみで含蓄のあるアンジェラの言動などがユーモラスな一方で、老人ホームゆえの哀愁ただよう人生模様も描かれていて、その配分と構成が巧い。謎解き面でも伏線を活かしたフー&ホワイダニット・ミステリとして水準をクリアしていると思う。

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