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ミステリの祭典

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真夜中のマーチ

作家 奥田英朗
出版日2003年10月
平均点5.50点
書評数2人

No.2 5点 E-BANKER
(2012/09/14 23:49登録)
2003年発表のノンシリーズ長編作品。
それぞれに悩みを抱える3人の若者を主人公としたクライム・ノベル。

~自称青年実業家のヨコケンこと横山健司は、仕込んだパーティーで三田総一郎と出会う。財閥の御曹司かと思いきや、単なる商社のダメ社員だったミタゾウとヨコケンは、わけありの現金強奪をもくろむが謎の美女・クロチェに邪魔されてしまう。それぞれの思惑を抱えて手を組んだ3人は、美術詐欺のアガリ10億円をターゲットに完全犯罪を目指すことに。直木賞作家が放つ痛快クライムノベル!~

作者の力量から考えれば、ちょっと安直な作品という感じ。
まぁ、プロットとしては「よくある手」という奴で、紹介文のとおり、社会からドロップアウトしかかっている若者たちの群像を描きながら、大人たちの巨悪に立ち向かっていくという構図。
読み手(男性)としては、当然「美人でタカビーな」クロチェが気になるのだが、2人の「仲間」を得て、徐々に閉じた心を開いていく彼女の姿にちょっとホロッとさせられる。

ただ、肝心の「クライム」の方はちょっといただけない。
ヤクザや謎の中国人など、「いかにも」という登場人物が「いかにも」という動きをしてしまう。
要はすべてが予想の範疇で、サプライズ感が全くないのだ。
ラスト(ミタゾウの「その後」)も何となく物足りない。

他の作品で見事なストーリーテラー振りを発揮している作者にしては「やっつけ感」の残る作品というのが正当な評価だろう。
(ミタゾウの父親の豹変ぶりっていうのは、よく分かるねぇ・・・)

No.1 6点 シーマスター
(2011/04/04 23:26登録)
前半は実に面白い。
好みの問題だろうが、設定、流れがキャッチーだし、「どうなっていくんだ?」とワクワクを催す「先の見えない感」がいい。

半ばで物語の方向が見えてくると、ややありがちな冒険活劇を予感させられてくる。

そして終盤の長―いドタバタは、よく計算されているし、捻りもあるし、決して三文ドタバタ劇ではないんだけど、こういうのはもう少し短い方が個人的には嬉しいなー

なんか奥田さん、長編のドタバタ部になると持ち前の「読みやすさ」より「ドタバタの完成度」を追ってしまい、クドさやダラダラ感を醸し出してしまう・・・・と感じてしまうのは単に自分が流し読みタイプであるからなのだろう。

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