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ミステリの祭典

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不確定性原理殺人事件
詩人探偵・楼取亜門

作家 相村英輔
出版日1999年10月
平均点4.50点
書評数2人

No.2 6点 人並由真
(2018/05/25 20:40登録)
(ネタバレなし)
 平成10年4月。元警視庁捜査一課の警部だった鳥越八郎は、20年前に生じた怪事件を振り返る。それは古いモルタルアパート「昭和荘」の10号室で失業中の青年・杉本哲夫が密室状況のなかで変死した事案だった。自殺の可能性も討議されるが、死因は「他者の手による絞頸による窒息死」と検死の結果が出る。しかも現場が密室空間だったことにくわえ、捜査線上に浮かんだ三人の容疑者にもそれぞれ鉄壁のアリバイがあった。捜査陣が不可能犯罪かと思うなか、やがて警視庁の上級職の甥でもある詩人探偵・楼取亜門が語った事件の真実は……。

 Webでキワモノっぽいという評判を読んで、面白そうだと手に取ってみた。
 そうしたら良い意味で普通の、謎解き(フーダニット&ハウダニット&ホワットダニット)ミステリであった。
 極言すれば事件の真相の意外性は、あるワンアイデアに帰する気もする。
 となると新書の二段組みで300ページ以上の紙幅はそこに至るまでの迂路的に長すぎる、そんな悪印象も生じそうだが、実際にはこれがあまり気にならない。
 本書のジャケット裏表紙に「軽やかな文体」とあるが、確かにテンポの良いリーダビリティの高い叙述で、なんか過渡期の天藤真みたいな感じのノリである(ユーモラスながら、どこか微笑ましい感じにイモっぽいというか)。

 伏線も大ネタを張りながら、猥雑な描写のなかにそれを紛れ込ます手際は悪くないし、なかなかの佳作~秀作じゃないの、これ、という感触。
 ただ(やはり裏表紙の解説によると)、本作は当時の都筑道夫が賞賛したそうだが、都筑がどういうところをホメたのかちょっとイメージしにくい。あまり都筑の作風などと、接点は見出しにくいんだけれど。

 ちなみにこれ、例の「本格ミステリ・クロニクル300」にも取り上げられてないのね。普通に該当時期の話題作? として紹介されていてもいい気もするんですが。

No.1 3点 kanamori
(2011/04/09 18:13登録)
昭和40年代を時代背景にしたミステリとはいえ、文章までもいやに古臭く昭和テイストが充満しておりました。
密室トリックを扱うなら人里離れたお屋敷とか、もう少し華のある設定にすればいいのに、場末のアパートでは読む気が失せてしまう。おまけに、何かの教科書から持ってきてとってつけたような哲学問答の蘊蓄は勘弁してほしい。
解法にロジカルなところもあるけれど、それ以前に小説として読ませる魅力に欠けるように思う。

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