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ミステリの祭典

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土曜日ラビは空腹だった
ラビ・スモールシリーズ

作家 ハリイ・ケメルマン
出版日1971年01月
平均点6.00点
書評数2人

No.2 6点 nukkam
(2012/03/11 15:21登録)
(ネタバレなしです) 1966年発表のラビ・スモールシリーズ第2作です。自殺かもしれない死者をユダヤ教の葬儀で埋葬するかどうかでラビと教会理事会が対立します。これだけなら宗教物語で終わりますが、ちゃんと謎解きプロットと密接な関係を保っており、本格派推理小説の良作に仕上がっています。宗教色が濃いといっても決して神がかったような内容ではなく、どうすればみんなが納得できるのかという問題として扱っており、とてもわかりやすく共感しやすいです。

No.1 6点
(2011/12/21 21:30登録)
第1作金曜日をずいぶん前に読んだだけだったラビ・シリーズ。この第2作の「空腹」の意味は、事件が起こった夜の翌日の土曜日がちょうどユダヤ教の贖罪日に当たっていて、断食をしていたからということです。
謎解きミステリとしては、凝ったトリックなど一切ない、ごくシンプルで地味なフーダニットです。50ページぐらいで死体発見となるのですが、それが殺人だとわかるのが半分を過ぎた170ページ目ぐらい。
ラビによる犯人指摘推理の最初の部分は、事件発生の直後から何となく気になっていたのですが、深く考えもせず、犯人探しとは直接関係ない、教会の理事会とラビとの対立の方に気を取られていました。実際のところ、殺人事件の捜査よりも、対立の原因となる教会に礼拝堂を増設する計画の問題と、自殺者の埋葬に関する宗教的問題の方がメインとも言えるほどです。最後にはその問題を、ラビによる殺人事件解決とうまく絡めていて、すっきりしたオチになっていました。

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