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ミステリの祭典

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白魔の歌
神津恭介シリーズ

作家 高木彬光
出版日1961年01月
平均点5.50点
書評数2人

No.2 6点 nukkam
(2016/04/24 16:54登録)
(ネタバレなしです) 1958年発表の神津恭介シリーズ第9作の本格派推理小説です。このシリーズとしては変わったプロットで、死体の演出こそ派手ですが物語のテンポは遅めでトリックへのこだわりもなく、全体的には地味な作品です。空さんのご講評の通り、プロットのバランスが悪いように感じます。神津恭介の真相説明はそれほど論理的ではありませんが虚しさの残る結末の効果がよく効いていて、推理への不満をそれほど感じさせませんでした。

No.1 5点
(2013/11/12 22:53登録)
半分ぐらい読んだところで、さて犯人は誰かと考えてみると、明らかにこの人物以外ありえないと思える作品です。しかし、だからと言って真相見え見えの駄作かと言えば、そうでもありません。中心となる謎は、被害者は誰になるかということなのです。動機をも含めて、この真相はおそらく簡単には見破れないでしょう。
ただし、全体的には謎解きの観点からするとバランスが悪く、中途半端な感じに終わってしまっていると思います。かなり短い作品なのですが、第1の殺人が起こるまではもう少し短くして、屋敷での警察の捜査、登場人物たちへの尋問をじっくり描きこんでいれば、意外性もより出ていたのではないでしょうか。
毒殺した死体に対する「悪戯」の理由は、海外のある古典短編を思わせますが、最初に書いた中心となる謎と絡めた工夫があり、単なる二番煎じに終わっていないのはさすがです。

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