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ミステリの祭典

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赤いキャデラック
DKAシリーズ

作家 ジョー・ゴアズ
出版日1978年01月
平均点5.00点
書評数2人

No.2 5点 クリスティ再読
(2020/04/27 13:10登録)
子供の頃「帝国探偵社」って社名を新聞で見て、それこそホームズとかポアロが勤務するような「探偵会社」だと思ったことがあるが...興信所だから「企業信用調査」やせいぜい「浮気調査」がメインで、決算書とかカネの流れには強くても、アリバイとか密室とかにはまったくご縁のない会社であることは言うまでもない。「ダン・カーニイ・アソシエイツ」略称DKAも、「探偵事務所」だがメイン業務はローンの支払いの滞った車を、銀行の依頼を受けて回収する仕事だったりするわけで、リアルな探偵社なんて業務はこんなもの。それでもね、所属のベテラン探偵がダン・カーニイに間違えられて襲撃されて大ケガしたなら、おとなしく引っ込んだりはしない。何が何でも、落とし前だけはつける...
というのが本作。ネオ・ハードボイルドのシリーズの一つだが、アンチ・ヒーロー調のヒーロー小説かロスマク調か、という傾向がネオ・ハードボイルドにはあるんだけど、このシリーズはDKAという会社の話で、探偵も10人くらいいて集団戦である。で、三人称カメラアイ度もかなり高い。特に誰、にフォーカスしないから、ヒーロー小説度はゼロで、感情を切り捨てた本来のハードボイルドっぽさがある。
とはいえねえ、探偵も関係者も多く、カメラアイで、かなり頻繁に場面が変わる。読んでいて「あれ、誰だったけこいつ?」となりがち。エンタメとしては、比較的不親切な傾向の強い小説なので、短いわりに読むのに時間がかかる。警察小説に近いところもあるけど、本来の意味でのハードボイルドっぽさが強く出ているので、まあ、警察小説というわけでもない。アリバイ崩しみたいなものはあるが、トリックメインの作品ではない。まあ、普通?くらいの評価。

No.1 5点
(2013/07/26 22:28登録)
原題直訳だと「最終通告」となるゴアズのDKAシリーズ第2作は、最初のうちは一般的な位置づけのとおりハードボイルド系という印象だったのですが、後半殺人が起こってからは、ある意味第1作以上にパズラー的、特にクロフツを連想させられる展開になっていました。まあトリックが、凝ってはいてもクロフツに比べると平凡な発想なのはしかたないですが。しかし、ゴアズの方が組織的な捜査が行われているという点は本作の特徴を示しています。DKAはもちろんダン・カーニイ率いる私立探偵事務所なわけですが、単独行動の多いフレンチ警部より警察小説的なチームワークで、犯人に迫っていきます。
最後はまたハードボイルドっぽい締めくくり方になるのですが、この決着のつけ方には疑問を感じました。またその直前の倉庫のシーンは、最後にカーニイも言っているとおり犯人にとってあまりに無意味なことで、不満が残りました。

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