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ミステリの祭典

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死の蒸発
DKAシリーズ

作家 ジョー・ゴアズ
出版日1974年07月
平均点6.00点
書評数2人

No.2 6点 kanamori
(2011/03/01 18:09登録)
ダン・カーニー探偵事務所シリーズの長編第1作。
私立探偵といっても、”卑しき街を往く孤高の騎士”的な私立探偵小説ではなく、ローン滞納自動車の回収を専業とする探偵事務所の調査員による集団探偵ものです。再読していないのでメイン・ストーリーは忘れましたが、ゴアズがウエストレイク(リチャード・スターク)と協調した”お遊び”が話題になり、そのエピソードだけ憶えている。
本書の脇筋で、スタークの生み出した悪党パーカーがワンシーンだけ特別出演しているのですが、スタークが書いた「悪党パーカー/掠奪軍団」にも同じシーンを登場させ、今度はパーカー視点でダン・カーニーを描いている。つまり、二人の作家が同じシーンを使って、其々の主人公視点で相手の主人公を描いたエールの交換というわけです。
悪党パーカー・ファンとしては、もう少し物語に絡んでカーニーと共演としてほしかったですが。

No.1 6点
(2011/02/08 21:04登録)
「ダシール・ハメット以来正真正銘の私立探偵が制作の世界に飛び込んだ数少ない作家の一人」(バウチャー)と言われもし、さらにそのものずばりのタイトル作『ハメット』も書いているだけに、その直系のように思い込むと、少なくとも本作に関する限り違和感を覚えるのではないでしょうか。
確かに私立探偵小説、つまりホームズやポアロみたいなのではなくリアルな私立探偵を描いた小説であることは間違いありません。しかし、犯人の可能性がある人間たちを絞り込み、さらに一人ひとりについてしらみつぶしに検討していくじっくり捜査の過程、真相が明らかになるクライマックスのサスペンスなど、むしろパズラー寄りの警察小説に近い印象を受けました。
三人称形式であるだけでなく、一つのシーンで複数の登場人物の視点を混在させ、それぞれの感情まで描いているところなども、ハードボイルドっぽくない感じがします。

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