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ミステリの祭典

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群衆リドル Yの悲劇 '93
イエユカシリーズ

作家 古野まほろ
出版日2010年12月
平均点6.00点
書評数3人

No.3 6点 メルカトル
(2019/10/24 22:41登録)
浪人生の渡辺夕佳の元に届いた、壮麗な西洋館への招待状。恋人で天才ピアニストの、イエ先輩こと八重洲家康と訪れた『夢路邸』には、謎を秘めた招待客が集まっていた。そこに突如現れた能面の鬼女が、彼らの過去の罪を告発し、連続殺人の幕が切って落とされる。孤立した館に渦巻く恐怖と疑心。夕佳とイエ先輩は、『マイ・フェア・レイディ』の殺意に立ちむかうことができるか!?
『BOOK』データベースより。

その昔、書店にまだ著者の作品が並んでいた頃、「天帝シリーズ」のいずれかの1ページ目を「見た」だけで自分には絶対最後まで読み切れないと思い、それ以来この人の作品を敬遠してきました。何年か前にある人に薦められて他の作品を読んでみたら、ごく普通の文体だったので安心しました。しかし、以降もあまり興味を惹かれませんでしたが、最近になってちょっと気になりだし再挑戦してみました。
まほろと言えば、過激な発言でネットを炎上させて以来、レビュワーから読者を舐めるなとばかりにAmazonで散々叩かれており、その為公正な評価が下されているのかどうかはっきりせず、困惑しています。特に例の「天帝シリーズ」はやはり敷居が高く、今後読んでみようか迷っていますが、慣れるまでが大変だろうなとか、長すぎて途中で挫折しないかとか、心配事が多くなかなか踏み切れないでいる私です。

さて前置きが長くなりましたが、本作、結構魅力的な舞台設定と本格のガジェットが満載で楽しませてくれます。まあ小ネタの積み重ねと言えなくもないので、スケールの大きさは感じませんが、本格に拘り通した作者の姿勢は大いに買えます。
動機は必ずしも納得出来るとは言えませんし、ご都合主義の面も否めません。それに○○が出てくるのは反則でしょう。それ以外はコード型のミステリであり、突飛な発想や意外な犯人、どんでん返しなどは期待しないほうが賢明です。

No.2 7点 公アキ
(2015/01/16 18:46登録)
 雪降る山奥の館での連続殺人事件。「そして誰もいなくなった」のようにがんがん人が死んでいきます。そして解決編では、全ての事件に対して緻密な「犯人当て」が繰り広げられます。論理の潔癖さが見事で、かつ独特ながらも読みやすい文体です。読中は、無性に寿司が食べたくなりました(笑)。

No.1 5点 名探偵ジャパン
(2014/08/02 09:15登録)
同作者の「天帝のはしたなき果実」を先に読み始めたのだが、独特の文体、登場人物の煩雑さに途中脱落してしまった。リベンジとばかり手に取った本作は無事(?)読み終えることが出来た。
クローズドサークル、密室殺人、天才的素人探偵。本格ミステリおなじみのガジェットを、若い感性で構築したらこうなるということなのか。
トリックや仕掛けは大掛かりなものもあり、この手のミステリを読む度思うのだが、「これ本当に個人で事前に用意できるのか?」と考えてしまう。
しかしながら、ホラー、SF要素を廃し(世界設定は架空の日本だが)あくまで本格に徹した姿勢は好感が持てる。機会があれば「天帝」にもまたチャレンジしてみたい。

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