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ミステリの祭典

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継ぐのは誰か?

作家 小松左京
出版日1970年01月
平均点6.00点
書評数2人

No.2 5点 虫暮部
(2019/10/04 11:04登録)
 語り手が現代の読者に向かって未来社会を紹介しているような妙な読み味に苦笑することしきり。
 小松左京を“スーパーコンピューター搭載のブルドーザー”と評したのは誰だったか。本作はコンピューターが五月蠅く指示を出し過ぎ、ブルドーザーの勢いを殺いでいる。尻切れ蜻蛉の幕切れだが、当初イメージしていた程にはストーリーを上手く展開させられなかった末の、苦渋の選択だったんじゃないかな~?

No.1 7点
(2011/08/21 08:22登録)
「チャーリイを殺す…」
7月26日に亡くなった小松左京の代表作と言えば、もちろん『日本沈没』や『果しなき流れの果に』がすぐ思い浮かびます。しかしミステリ的観点からすれば、冒頭の殺人予告メッセージで始まる本作こそ、最初に挙げられるべきでしょう。似たような予告に次ぐ不可解な殺人がすでに世界各地で起こっていることが明らかにされ、ミッシング・リンク的興味もあります。そしてついに起こる殺人事件では、ダイイング・メッセージまで出てくるのです。
時代設定は月に基地ができているぐらいの近未来で、事件の状況そのものも、その解決も完全にSF領域ですが、ミステリ的要素も充分です。といっても、犯人の正体は半分ぐらいで明かされ、殺人事件そのものは解決してしまいます。後半では事件の背景をめぐり、話は秘境探検へと発展していきます。
謎解きだけなら、アシモフに比べると不備もありますが、作者らしいテーマを持ったSFとしては、なかなか読みごたえのある作品です。

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