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ミステリの祭典

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陸軍士官学校の死

作家 ルイス・ベイヤード
出版日2010年07月
平均点6.67点
書評数3人

No.3 6点 ROM大臣
(2022/12/20 14:43登録)
舞台は一八三〇年のニューヨーク州。ウェストポイント陸軍士官学校である夜、一人の士官候補生の首吊り死体が発見される。一旦は安置所に保管された遺体だったが盗み出されてしまう。
重厚な文章でつづられた歴史ミステリでありながら時に軽みというか、脱力ものの趣向が飛び出すこともあり、被害者同士のミッシングリンクが明らかになった時は笑ってしまった。とはいえ、最後に明かされる事件の動機はロマンチックとは程遠く、とても生々しく哀しい。

No.2 8点 青い車
(2016/06/05 22:16登録)
 読者が一緒に推理しながら読むようなタイプの作品ではないですし、真相にも想定を上回る驚きがないので僕の嗜好からしていえばあまり高評価ではありません。それでも、青年期の傲岸不遜ながらも初々しいエドガー・A・ポオのキャラクターや、学校内をはじめとした19世紀アメリカの味のある描写が実に美しく楽しく、満足度は高いです。文庫上下巻で700頁を超える分量を飽きずに読めました。

No.1 6点 nukkam
(2014/10/20 12:04登録)
(ネタバレなしです) 米国のルイス・ベイヤードは1999年に非ミステリー作品で作家デビューし、2003年から歴史ミステリーを書くようになりました。2006年発表のミステリー第2作で、舞台を1830年代の米国にしてあのエドガー・アラン・ポオを登場させた本格派推理小説です。この時代のポオはまだ若く(作家でもない)、主人公(語り手のガス・ランダー)の助手という位置づけで物語は進行します。前半は探偵コンビの捜査という、よくある展開ですが後半はロマンスや主従関係の微妙な変化などが加わって面白さが倍増します。終盤ややスリラー系に流れますが最後はちゃんと推理が披露されます(ネタバレ防止のため詳しく書けませんが翻訳者の苦労は並大抵ではなかったでしょう)。上下巻合わせて700ページを超す大作の割には読みやすいですがグロテスクな描写があるのが玉に瑕でしょうか(ほんのちょっとですけど)。

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